【サメ映画】『キラー・シャーク 殺人鮫』レビュー

 フカ・サピエンス
『キラー・シャーク 殺人鮫』

原題:Shark Man/Hammerhead
監督:マイケル・オブロウィッツ
出演:ウィリアム・フォーサイス, ジェフリー・コムズ, ヴェリザール・ビネヴ, ハンター・タイロ
備考:監督は『撃鉄 GEKITETZ -ワルシャワの標的-』の人


シャークマン01
⒞2004 Equity Picctures Medienfonds GmbH & Co. KG ll

 かの『メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス』(2007)以降、まず海底から始まって、地上、空中、そしてついに宇宙への進出まで果たしてしまうという、最近ではダーウィンの進化論に中指を立てるような突然変異を遂げているサメ映画。

 もはや“サメを使う脚本上の必要性”や、“現実のサメとの生物学的考証”について指摘する方が野暮なほど、『サメ映画=駄作の治外法権』の図式が完成されてしまったところがあるが、いくらサメ映画とはいえ長い映画史の中、何も唐突にそのようなトンデモ路線へと舵を切ったわけではない。

 環境に合わせて魚が人へと進化していったように、結果だけ見れば荒唐無稽な進化にも、その過程があるものだ。


 というわけで本作がサメ映画史の通過点にして、直立二足歩行を習得したサメ人間の登場するNU IMAGE作品、『キラー・シャーク 殺人鮫』(2005)である。


 まあサメ人間映画は本作以前にもあるんだけどね。




 あらすじ

 南太平洋の孤島に潜むマッドサイエンティスト、キング博士。彼は末期癌に犯されていた息子のポールに、サメの細胞を移植することで、癌細胞への耐性とシュモクザメのパワーを兼ね備えた新人類・シャークマンを作り出していた。



シャークマン04
⒞2004 Equity Picctures Medienfonds GmbH & Co. KG ll

↑サメ映画にしては珍しく、シュモクザメをベースにしたサメ人間。
ちなみに、「別にシュモクザメの姿にする必要ないdaro」との指摘は劇中でもされているが、それに対するキング博士の返答は、
「でもシュモクザメのパワーは必要」で一貫している。




 一方大手製薬会社のIT部門に勤める主人公のトムと、海洋学者にしてポールの元婚約者・アリシアは、「キング博士が癌細胞の治療に成功した」との連絡を受けたため、他の社員も引き連れ成果の確認に向かう。



シャークマン02
⒞2004 Equity Picctures Medienfonds GmbH & Co. KG ll

↑本作のヒロイン・アリシア。
余談だが、彼女を演じるハンター・タイロは、米国の大物プロデューサー、アーロン・スペリングを訴えて勝ったことで有名。




 だが二人を待ち受けていたものは、かつて己を捨てた企業への復讐心を抱くキング博士と、彼の保有する私設軍隊、そして理性を失い獰猛な殺人鬼と化したシャークマンなのであった――



シャークマン06
⒞2004 Equity Picctures Medienfonds GmbH & Co. KG ll

↑主人公のトム。
冴えない中間管理職のはずの彼だが、何故か銃火器と格闘術に精通している。一人で私設軍隊を半壊させる程度には。




 先に断っておこう。

 本作にサメ人間の活躍を期待してはいけない。



 正確には、出番こそそれなりに多いものの、“全身が映るカットが極めて少なく、頭部か四肢の一部、もしくは目玉が1~2秒画面に見えるのみ”であり、またサメの捕食シーンも“ギタギタに細かく割られたカットと、ブンブン機材を振り回すかのようなサメ人間視点のカメラワーク”のせいでちっとも迫力がないのだ。

 本作の、これといって特筆すべき点のない月並な脚本や、指摘するのも面倒なほど大量に存在する展開の細かい粗などは、それもまた“B級映画の魅力”として受け入れられる面もあるが、やはり原題にもなっている『シャークマン』に満足な見所がないとなると、これは少々厳しい評価を下さざるを得ないだろう。



 他に突出して優れた箇所があるわけでもなく、サメ人間という設定の独自性も活かし切れていない辺り、総評としては“不完全燃焼気味の凡作”と言う他にない。



 だがこの映画、決して面白いシーンが皆無の作品というわけではないのだ。
 例えば、シュモクザメの魅力について延々と力説するキング博士のパート。



シャークマン08
⒞2004 Equity Picctures Medienfonds GmbH & Co. KG ll


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⒞2004 Equity Picctures Medienfonds GmbH & Co. KG ll


シャークマン10
⒞2004 Equity Picctures Medienfonds GmbH & Co. KG ll





 ちょっと意味が分からない。
※なお本作でキング博士を演じているのは、死霊のしたたりシリーズでおなじみジェフリー・コムズである。何故。


 また、比較的予算が足りているときのNU IMAGE作品らしく、妙にアクションシーンに気合が入っているのも長所と言えるだろう。何せこの映画、サメ人間の活躍よりも火薬と爆風の方が多いのだ。



シャークマン11
⒞2004 Equity Picctures Medienfonds GmbH & Co. KG ll

↑中盤以降、サメ人間に代わって本作を彩る派手な爆発。
『沈黙の標的』の監督にサメ映画を撮らせたのがマズかったのかもしれない。



 そして時々本筋を無視して挿入されるフェティシズム全開のパート。



シャークマン07
⒞2004 Equity Picctures Medienfonds GmbH & Co. KG ll





 この映画は一体何を目指していたのか。





 とにかく、サメ人間の活躍を求めなければ、楽しんで観れないこともない作品ではある。

 特別褒められた点はないが、観る価値のない駄作として貶すにも惜しい、変な見所も少なからず持っているという、ある意味サメ映画を象徴するような一本だ。



 というわけでこのキラー・シャーク_殺人鮫だが―



 ラストで“キング博士に拘束されたアリシアが妙にエロチックなこと”以外はやっぱり万人にオススメするような内容でもないかな!



 

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コメント

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No title

おいシャークマンもっと紹介しろよ

No title

内容は悪くないように思えるんだけど色々とねえ、なんで見た目や設定やパッケージや予告編は面白うそうなの多いんだか。最近のおすすめはアメリカ製作のスカイファイターってのがいいですね、最高にクソです、突っ込みどころが終わらない作品でした。

No title

エロシーンだけ見たくなる映画ですねw