【コメディ/サスペンス/ドラマetc】『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式』レビュー

『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式』

原題:DEATH AT A FUNERAL
監督: フランク・オズ
出演: マシュー・マクファディン, ユエン・ブレムナー, アラン・テュディック, ピーター・ディンクレイジ
備考:監督はスター・ウォーズシリーズのヨーダの声優


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⒞2007 Film & Entertainment VIP Mediafounds 1 & 2 Gmbh & Co. KG/Target Media.

 たまにはこういうのもいいよね。




 あらすじ

 父親の葬儀の朝、気弱な長男ダニエルは頭を重くしていた。
 弔辞を読むという大役への不安と新居をめぐる妻との口論、小説家として成功している弟との再会…。

 一方、従妹のマーサは、婚約者をどうやって父親に紹介するかで頭がいっぱい。
 しかし、その婚約者は彼女の弟が持っていたドラッグを誤って服用し錯乱状態に。

 さらに、見慣れない参列者がダニエルの前に現われ、父親の重大な秘密を語り始め…。(パッケージ裏のSTORYより引用)




 本作・『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式』は、一人の男の葬儀に集まった参列者達が織り成す、ドタバタで少しブラックなコメディ映画である。



 葬儀の準備に奔走する、作家志望者の主人公・ダニエルは、一流作家の弟・ロバートに強いコンプレックスを抱いている。
 同時に、両親の世話葬儀の費用まで自分に押し付けて、一人呑気に外国で暮らしている弟にはまた別の不満を持っていた。

 一方、久々に実家を訪れたロバートは、一見して陽気な成功者の態度で兄と接する。
 だが、彼は彼でダニエルに思うところがあるのか、時折居心地の悪い風な表情も覗かせていた。



 そのような兄弟二人が開いた父親の葬儀には、一癖も二癖もある参列者達が何人も、本当に何人も集まってきて――



 というところで一旦話を切っておこう。

 何せ本作の登場人物は非常に多いので、彼等全員の性格や人間関係について逐一語っていると際限がないのだ。
 それでも、数を絞って簡単に紹介するなら、


・強気な性格の従妹・マーサ
・マーサの弟で、頭は良いが、裏でドラッグを密造している男・トロイ
・葬儀に来る途中にうっかりドラッグを飲んでしまったマーサの婚約者・サイモン
・過去に一度マーサと肉体関係を持っているプレイボーイ・ジャスティン
・決して悪人ではないが、どこか間の抜けたトラブルメーカー・ハワード
“参列者達の誰とも面識のない”謎の小男――



 と一度には覚え切れない程のユニークな面子が、次から次へとハウエルズ家の敷居を跨いで密集してくる。











 そして、“薬の効果で完全に頭が吹っ飛んでしまったサイモン”が、“弔辞の最中に突然錯乱して故人の棺桶を引っくり返したかと思えば”“今度は謎の小男が主人公達へと、父親に関連する衝撃の事実をカミングアウトする”ところから、厳かな葬儀は一転して喜劇と化す。



 深刻なネタバレの危険があるので、そこの詳細はあえて伏せるが、初見の方にも差し支えない範囲で一点紹介すると、



 例えば、前述のサイモンが全裸で家の屋根まで登り始める。



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⒞2007 Film & Entertainment VIP Mediafounds 1 & 2 Gmbh & Co. KG/Target Media.

↑左の男性が弁護士のサイモン。右は彼を追って屋根まで上がってきた婚約者のマーサ。
ちなみに、屋根の下ではマーサの父親も含めた参列者達が二人の様子を窺っている。




 そして、ダニエル、ロバート、マーサ、トロイ、ハワードと、個性豊かな登場人物によって繰り広げられる“ちょっとおかしなお葬式”の騒動は、「あっ、また訳の分からない問題が発生するのか」、あるいは「えっ、あの場面とこの展開がそうやって繋がるのか」という具合にサクサクと進むので、これが思ったより大分物語に惹き込まれてしまう。

 本作は群像劇である都合上、本編の場面/視点が頻繁に切り替わるが、


登場人物全員のキャラクターが立っている
個々の展開に割かれている尺の配分が、長過ぎず短過ぎず適切である
また中盤以降から全ての筋書が一本に収束していく、綺麗な構成である



 ので、“その複雑な内容に対して快適に観られる上に、本編の構造にも納得が行く”


 また、クライマックスを迎えた後にもう一押し笑えて、かつ何か和やかな余韻の残る、本作のラストは観ていて心地良い。
 途中の展開が多少肌に合わなくとも、“あの結末の後味のために”本作を薦めていきたいと思うところはある。



 ただし本作には、“ダイレクトに下品な場面”や、“価値観次第では一切笑えない不謹慎な展開”も一部混在しているので、「冗談は冗談」といくらか割り切って鑑賞することが必要ではあるが。



 というわけでこのハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式だが、鑑賞前の期待値を余裕で超えて面白かった。

 基本は淡々と流し、大事な場面で一気に押し出すユーモアの匙加減も好印象、だが真面目な展開も丁寧に、また自然に組み入れられているという、明るさ切なさを兼ね備えた作品だ。

 至高の傑作とは言わないものの、出来自体は十二分に良いので、ちょっとおかしな作品を鑑賞する気分の際には、ぜひとも本作をオススメしておきたい。

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コメント

非公開コメント

No title

夏の暑さで具合が悪いのでしょうか。ご自愛ください。

No title


良作をレビューすると体調を疑われるのか…
しょうがないね

No title

たまにはこういう作品の紹介があってもいいじゃん
芸風を強要するのはどうかと思うぞ

やっぱり芸じゃないか
屋根裏部屋のマリアたちや
モンテーニュ通りのカフェみたいな
名作レビューも需要ありますねぇ