【スラッシャー映画】『フレディVSジェイソン』レビュー

『フレディVSジェイソン』

原題:Freddy vs. Jason
監督: ロニー・ユー
出演: ロバート・イングランド, ケン・カージンガー, モニカ・キーナ
備考:製作はショーン・S・カニンガムで、原案はウェス・クレイヴン(フレディ担当)とヴィクター・ミラー(ジェイソン担当)


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⒞2003 New Line Productions, Inc.

















 今回はサメ映画じゃないんだ! 絶対観てくれよな!



 というわけでフレディVSジェイソンである。




 あらすじ

 フレディとジェイソン、なぜ彼らは闘わなければならなかったのか?



 殺人鬼フレディが人々の夢に侵入し、殺戮を繰り返した惨劇からすでに10年の月日が経つ。
 40歳以下の住民は、ほとんど彼の存在を知らず、悪夢を見る人もいなくなり、街は平和を取り戻していた。

 そんな中、悪夢がなければ存在出来ないフレディは、現実の世界に存在する殺人鬼ジェイソンを知る。
 ジェイソンを操るのが簡単だと知ったフレディは彼の夢に忍び込み、伝説に新たな命が吹き込まれるはずだった・・・。

 しかし、残忍な殺戮を止めないジェイソンはやすやすとフレディの手を離れ、街は恐怖一色に。



 夢の世界と残酷な現実世界が交錯する"最恐の闘い"―――勝つのはどちらか?!(公式HPより引用)




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⒞2003 New Line Productions, Inc.


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⒞2003 New Line Productions, Inc.

↑本作のフレディとジェイソン。
フレディは「手数を活かした速攻と悪夢の世界を操る能力」、ジェイソンは「強靭な体力と一撃必殺の腕力」で主に戦う。
ジェイソンはともかく、格闘主体で応戦するフレディの活躍は新鮮で見物だ。










 『フレディVSジェイソン』は非常に楽しいホラー映画である。

 冒頭ではフレディの独白という形式で、エルム街の悪夢シリーズの概要やフレディ・クルーガーの基本設定、彼が新たな惨劇を引き起こす動機を、「多少のブラックユーモアも交えて短く簡潔に」「そして未見の人間にも分かり易く丁寧に」「だが『エルム街の悪夢シリーズ』の作風は確かに残した」形で伝えてくれる。



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⒞2003 New Line Productions, Inc.

↑本作のフレディ・クルーガー
俳優は本家シリーズと同様にロバート・イングランド。大体三作目以降(七作目を除く)の少しコミカルな面が強い性格のフレディ。
悪夢演出の作風は三作目・四作目に近いだろうか。

本作のフレディは徹底してジェイソンを『道具』『自分より格下』と見ているが……。
故に、本気のジェイソンと対面したときの呆気に取られた表情が愉快である。




 フレディの独白を済ませた後に、続いて今度はジェイソン・ボーヒーズが登場、自己紹介も兼ねて水辺で若い男女を殺し始める。

 「恒例のサービスショット」から始まって、「気味の悪い間」を間に挟んでから、「鈍重に見えるが決して獲物は逃がさない」「気が付くと傍に接近している」「そして止めは一瞬」というジェイソンの挙動は、先程の『エルム街の悪夢シリーズ』から一転して完全に『13日の金曜日シリーズ(後期)』そのものである。
※ちなみに、ジェイソンと違ってフレディは基本獲物を故意に嬲る。



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⒞2003 New Line Productions, Inc.

↑本作のジェイソン・ボーヒーズ
俳優は本家シリーズの八作目でスタント・コーディネーターを務めたケン・カージンガー。
六作目以降のパワーとタフネスに定評がある設定のジェイソン。

本作のジェイソンは「水を恐れている」という設定が存在するが、本家シリーズでは平気で水の中に居る/普通に泳いでいる描写が見られる。
これは本作独自の設定もしくはフレディの悪夢の影響と解釈した方が良いかもしれない。

まあ別に何でも構わねえだろフレディだって何回も妙な弱点が増減してるじゃねえか。




 そこから改めて本筋が始まるわけだが、これもまた本当に観ていて楽しい。

 「ジェイソンを利用して自身の完全復活を企むフレディが、あまりに制御の効かないジェイソンの暴走に耐え兼ねて、直接対決に挑む展開」や、「二人の殺戮に巻き込まれる中で、必死に生き残る術を探す一般人達の攻防」はスリルに溢れていて、かつテンポも良い。

 要は、「初見の観客のための作品解説」「二作品の様式美を踏襲した場面」「両作の内容を一本に纏めた上で生み出された、、本作独自の見所」が、物語の中で極めて自然に組み立てられているのだ。



 「ところでそれは怖いのか」と聞かれると、「ホラー映画に慣れていれば特に怖いこともない」と返すが、同時に「滅茶苦茶楽しい」「ホラー演出自体は凝っていて、飽きない」「不死身の連続殺人鬼同士で繰り広げられる、空前絶後の死闘が熱い」と付け加えておきたい。



 繰り返すが、本作は非常に楽しいホラー映画なのである。
※大体フレディもジェイソンも後期作品は実質ホラー映画からブラックなコメディ映画に変わっているのでそこは今更じゃないか。



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⒞2003 New Line Productions, Inc.

↑本作序盤に数秒だけ映るTV画面。
よく見るとテロップの文字が『krgr』すなわち『クルーガー』である。
この手の細かい見所も多い(映像特典のオーディオコメンタリーで言われるまで私は全然気が付かなかったんだけどね)。




 なお、本作では脚本上、「フレディ=事件の黒幕・比較的悪玉」「ジェイソン=フレディを倒すための最終兵器・比較的善玉」という立場で描かれている。

 “事の発端はフレディがジェイソンの魂を騙して生き返らせたこと”や、“序盤から中盤の主な舞台がエルム街(=ジェイソンよりフレディの存在を恐れている土地)であること”“ジェイソンと違ってフレディは露骨な悪意を全開に人を殺していること”を考えると、劇中の登場人物目線で見た場合、二人の立場は妥当だろう。



 だが、劇中の二人の殺害人数に注目して見ると、フレディが確認可能な範囲で僅か数人しか殺していなかったのに対して(冒頭の回想シーンは除く)、ジェイソンは善人・悪人・主要人物の大半を殺し回った末に、二桁以上の犠牲者数を出している。



 結局は両方悪役ということだが、“二人の殺人鬼の内の片方を、過度に上げるわけでも下げるわけでもない”、上記の絶妙な匙加減も嬉しいところだ。
※まあ本家シリーズ同士の比較でも殺害人数は大差を付けてジェイソン>フレディだが。



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⒞2003 New Line Productions, Inc.

『フレディVSジェイソン_とびっきりの最強_対_最強』。
なお劇中の要所要所で、『フレディの数え歌』や、「キッ・キッ・キッ、マッ・マッ・マッ……」の音楽も流れる。
当然と言えば当然だが、それでもシリーズのファンには嬉しい。




 というわけで『フレディVSジェイソン』は当然オススメである。



 「フレディとかジェイソンとか、名前は聞いたことがあるけれども、どこから手を付ければ良いのか分からない……」という方は、最初の作品に本作を選ぶのも良いと思う。
 二大シリーズの概要を一から簡単に、そして愉快に知ることが可能かつゴア描写も適度に薄い本作は、シリーズ入門に相応しいキャッチーな一本だ。

 もっとも、本作は一種のアクション要素やコメディ要素も多数含むので、純粋な『恐怖』を求めるなら『13日の金曜日』の1・2・4あるいは『エルム街の悪夢』の1・2がオススメかもしれないが……過度に拘る必要はない。何なら本作をシリーズマラソン最初と最後に二回観れば良い。

 『ジェイソンX 13日の金曜日』? 『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』?
 両方傑作だが私は“一番最初には”薦められない。ケーキのイチゴは最後まで取っておくものだ。
 えっ? 先に食う? それならいい。



 話は逸れたが『フレディVSジェイソン』は当然オススメである。
 以上である。




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コメント

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No title

VS映画のお手本のような映画でした
おい、聞いてんのか異星人ども!

昔観たけど、フレディがどんなに爪で傷つけてもノーリアクションなジェイソンのシーンは今も記憶に残ってる
ラストは忘れちゃったから、もう一度観てみようかな

No title

ターミネーター2みたいに超人バトルな感じが良いんですよね。
ヘルレイザーみたく見ているだけで痛い感じの殺戮シーンも少ないですし、入門としても良い映画でした。
ラスト間際、黒人の女の子の死ぬシーンは印象深かった。
「助けてくれてありがとう。でも氏ね!」

No title

勝手に戦えとか言われない方のvs映画

噂の真実

この映画の前後くらいに
ニューラインシネマから
アッシュ(死霊のはらわた)VSフレディVSジェイソンの要望があったとスタッフが語ってました。
ソースは死霊のはらわたオリジナル(ブルーレイの特典映像 語られなかった物語の52分くらいです)

後半の肉弾戦はフレディを見直しました、結構根性のある戦い方で

No title

貞子VS伽椰子の製作スタッフはこの作品を1000回は見て猛省すべきだと思う。

クレジット見たら、案の定アサイラムでワロタw

貞子vs伽椰子の監督はこの映画を反面教師にしたらしいし多少はね

No title

ジェイソンvsフレディvsアッシュはアメコミ版があるよ

No title

最終シーンもどっちの格を落とすことのない結末で
クロスオーバーの良作だと思います

No title

ところでハットさんは、別名「ジョーズのプリクエル映画」「サム・クイントのスピンオフ」とも呼ばれている『パシフィック・ウォー』はご覧になられましたかな?

No title

貞子VS伽椰子は傑作なんだよなあ…