【ディザスター映画】『アルマゲドン2008』レビュー

 B級映画は軽い悪戯感覚で隕石を落とすな
『アルマゲドン2008』

原題:Comet Impact/Future Shock: Comet
監督: キース・ボーク
出演: クリスチャン・ソリメノ, ジェームズ・ウィルビー, ジェームズ・コスモ, チョー・ワ・ヴオン, ドン・ワリントン
備考:イギリス製作のTV映画/アルバトロス


20081
⒞Produced under the Copyright Licence of Seven One International GmbH

 原題の通り、マイケル・ベイ監督の『アルマゲドン』とは一切関係のない作品が、本作こと『アルマゲドン2008』である。
 ちなみに公開は2007年12月1日である。
 ※ただし、劇中でパッケージの隕石が落下する日時が2008年8月8日であるので、一応セーフ……かもしれない。

 しかし本作、数多のディザスター映画の中でも、内容自体は極めて異色の作品である。
 決して大作映画の展開を安直に模倣した、志の低い作品の類ではない。

 そこを踏まえて、今回はこのアルマゲドン2008をレビューしていこう。



 なお、今回のレビューにはオチの部分のネタバレを含む。
 とはいえ、“本作のパッケージの裏の概要でもオチが半分ネタバレされている”ので、別に今更私が気を遣う必要はないかもしれないが、一応先に断っておく。




 あらすじ

 2008年8月8日、大型彗星が大西洋に墜落。
 巨大な津波により、アイルランドは壊滅した。

 全世界が衝撃に揺れる中、天文学者のニールは不吉な予感を覚える。未知の脅威は、他にもあるのでは?

 その予感は的中し、地球への衝突コースにある彗星が発見された。
 “その日”はちょうど1年後。墜落予測地点は、北米大陸。
 滅亡の危機に見舞われた人類は、未曾有のパニック状態となる。
 核ミサイルによる迎撃も不可能。

 残された唯一の道は、アメリカが犠牲となり、被害を最小限に食い止めること。
 かくして、1億の人々を避難させる、“民族大移動”計画が開始された!!(パッケージ裏より引用)






 多分本作で一番扱いが悪いのはアメリカというよりアイルランドだが、それはそれとして早速内容のレビューへと移る。



 本作が面白いのは、同系統の他作品とは違って“隕石が普通に地球へと衝突する”という点である。

 大抵の作品では、迫り来る地球の危機に対して、“隕石を破壊する”“軌道を逸らして回避する”等の対策を取るものだが、本作は隕石に“何も行わない”



 “そのまま隕石が地球へと落ちるのに任せる”のである。



20082
⒞Produced under the Copyright Licence of Seven One International GmbH



 勿論、その理由について、「核弾頭で迎撃すると、破片が四散して更に被害が広がる」「そのまま隕石を落とせば、アメリカは滅びるが世界は救われる」「故に迎撃は諦めて国民の避難に全力を注ぐ」という説明は劇中で為されている。



 そして、


・「最善策のために自分の国を捨てなければならない主人公の葛藤」
・「一大国として到底受け入れられない手段を取らせるために、資料を集め、計算を行い、政府を説得する科学者の奔走」
・「早期に手を打ってなお全国民の避難は不可能、自分達の決断のために数万人の犠牲が出ることに対する苦悩」



 などの描写を、「受け入れなければならない自然の脅威」というテーマを軸に映し出したのが本作、『アルマゲドン2008』である。



 思ったよりハードな作品じゃないか。



 また、軍部の考案した無謀な彗星迎撃作戦に反対して、「危険な賭けに出るより、悲惨な状況でも先が読めていた方が良い」と主張する主人公の性格も、この手の作品には珍しい。

 この台詞の背景には「失敗すると十倍以上の被害が出て世界が破滅する」「成功する確率は極めて低い」という状況があるので、主人公が冷淡な性格と言うわけではないが、それでも「無茶な計画を強引に達成してナンボ」なディザスター映画の中では特異なキャラクターである。

 更に、主人公に「その方法では大統領や国民を納得させられない」と冷静に反論する将軍や、「軍部を納得させたいなら勝負を挑むな、情報を集めて説得しろ」と助言を送る部下など、様々な立場から登場するキャラクターの言動に一々頷けるのも本作の魅力である。



 映像技術云々に関して言えば相応にチープだが、最低限度の品質は保たれているので、少なくとも単調な絵面に飽きてくることはない。
 展開には一部強引な箇所がないわけではないが(「終盤で突然ヘリコプターが、不都合主義的に姿を消す」など)、肝心要の部分が概ね丁寧に作られているので、総合的には好印象だ。



 カタルシスとは無縁の「淡々と物語が進む作風」かつ、多少「既存のフォーマットを外したことから生まれる変化球の面白味」が強い作品ではあるが、一風変わったマイナーなディザスター映画を望む場合は、本作をオススメしておきたい。

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コメント

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名前だけ見て敬遠してたわ…見てみようかな

No title

これはまだ見れる方の映画でした。というか主人公以外も有能で結構好きな方です。

No title

一瞬「このタイトルでどんなサメがでるのか」と思ってしまった。
疲れてるのかな。俺。

No title

ググってみたらウィキペディアにページがあって驚きましたが、さらにそこに記された吹替声優陣が……

『内田直哉、大塚芳忠、佐々木勝彦、石塚運昇、天田益男』

うおお、見てえ‼︎レンタルショップにあるかどうか……。

No title

タイトルで損してるな
どうせ大作に便乗した映画でしょ感がして見る気を削いでしまう