【サメ映画】『ドルフ・ラングレン 処刑鮫』レビュー

 I must Shark you
『ドルフ・ラングレン 処刑鮫』

原題:SHARK LAKE
監督: ジェリー・デューガン
出演: ドルフ・ラングレン, サラ・マラクル・レイン, マイケル・アーロン・ミリガン, リリー・ブルックス・オブライアント
備考:ドルフ・ラングレンの吹替は大塚明夫


SL1
⒞2015 THE LAKE, LLC.

 『七皿食うて鮫臭い』という諺がある。
 満腹するまで食事を頂いておいて、後から「この料理には鮫の臭味がある」と文句を言う者を指す言葉だ。

 この言葉には、正常な感性が擦り切れるまでサメ映画を鑑賞しておいて、「畜生! またクソ映画だ!」と怨嗟の声を上げる、悪食な我々サメ映画ファンにも通じる面があるが、“我々の腹はまだ満ちていない”という点で少し意味は異なってくるだろう。



 というわけで今週の「教えて☆サメ映画!」のコーナーは終了するが、これで締めるのも味気ないので、引き続き『ドルフ・ラングレン 処刑鮫』のレビューを行っていく。






 ちなみに、邦題にも名前が入っているドルフ・ラングレンだけど、彼は別に主役じゃないよ。 



 それは文句も出るだろ!




 あらすじ

 ある湖畔の町で警官をしているメレディスは、かねてから追っていた犯罪者クリントを逮捕することに成功。
 しかし刑務所に収監された彼には、まだ幼い一人娘がいた。
 メレディスは身寄りのない彼女をひきとり、自分の娘のように育てることを決意した。

 数年後、クリントが仮出所で町に戻ってくる。一方、彼の出現と時を同じくして、湖では遊泳者がサメに襲われる事故が相次いで起こっていた。なぜ湖に生息しないはずのサメが居るのか?

 クリントとサメの関係は? メレディスは生物学者のピーターと調査に乗り出すが、やがて、静かな町を恐怖のどん底に突き落とす出来事が起こり、湖が血で染まってゆく・・・。(パッケージ裏より引用)




SL2
⒞2015 THE LAKE, LLC.

↑本作のヒロイン・メレディス。
一応主役だが、本作のエンドロールでは上から二番目(一番上はクリントことドルフ・ラングレン)に位置している。




 この処刑鮫だが、ストーリーは概ね(ドルフ・ラングレンじゃなくて)ヒロイン・メレディスを中心に進む、パニック映画というよりサスペンスあるいはヒューマンドラマの方向に振れたサメ映画である。
 “サメが人を襲う”ようなパニック要素も含まれているが――基本的には『家族愛』がテーマの作品だ。

 その内容は、特別悪いものとは言わないが、“物語の導入部分を延々と中盤まで引き延ばしているかのような展開の遅さと起伏の無さ”は、良いものとも思えない。

 本作には「突然、田舎の湖にサメが現れる」という定番の展開に、「警察官にして育ての親・メレディスと、犯罪者にして生みの親・クリントが、娘を巡って織り成す複雑な家庭事情」や、「以前クリントから秘密裏に買った、サメの回収を狙うマフィア」といった要素が盛り込まれているが、個々の展開が尺を食い合って本筋が中々進まない上に、純粋に見所も少ない微妙な展開が、結果として序盤から長々と続くのだ。

 また、今作もサメの出番は終盤まで非常に少なく、同時にそれを埋め合わせるような山場も少ない。
 アクションに定評のあるドルフ・ラングレンを起用している以上、適当に理由を付けてドルフと警察かマフィアとの格闘シーンでも豊富に入れておけば、サメの出番が少なくともまた印象は違っただろうが、本作にはそのような場面も乏しい上に、彼の出番自体がそこまで多いわけでもない。
 ※終盤まで、一貫して優しい父親の役割に努める本作のドルフ・ラングレンの姿は、少し珍しいかもしれないが。



SL3
⒞2015 THE LAKE, LLC.

↑本作に登場する殺人ザメ。
舞台は湖だが、本作のサメは『オオメジロザメ』という淡水で棲息可能な種であり、気性も荒い。




 そして、ヒロイン・メレディスだが、「そんなに他人の話を聞かない、態度が感情的で物事への先入観が強い人物」として描かれているために、主役としては個人的に観ていて印象が悪かった。
※パニック映画の餌枠として置いて欲しいキャラクターかな。

 一応、彼女の相棒のポジションに位置する生物学者・ピーターが、冷静で的確な発言でメレディスをサポートすることによって、キャラクターのバランスは取られているが――

 彼は“終盤間際で適当にサメに食われて、意味不明な内に死んでいる”上に、以後本筋から完全に忘れ去られてしまう。



 半ばサスペンスあるいはヒューマンドラマとして作っておいて後半で今更主要人物をパニック映画のごとく適当に死なせるなよ!



 それまで、主役の相棒として、“ヒロインとのドラマやキャラクターの内面を、十分な尺を取って掘り下げてあったにもかかわらず”、用が済んだ途端、“最期はどうでもいい端役のように一瞬で物語から処理される”ピーターの姿には、多分脚本が本来想定したものとは違う別種の悲壮感が漂っていた。
※彼が死ぬ過程と結末は本当に雑だったので、逆に一見の価値は含まれているかもしれない。



 サメのCGもチープであり、捕食シーンは単調、ラストの“サメVSドルフ・ラングレン”には一瞬期待したものの、割と淡泊に決着が付いてしまっており、サメを巡るクリントとマフィアとの確執も何時の間にか解決されている――などと、本作は全体的に不完全燃焼気味だ。



 だが一方で、クリントことドルフ・ラングレンの登場するパートに限定すれば、割合「父と娘」というテーマに沿った内容が練られていることや、“一応サメ映画の中では作品として体裁が整っている部類”であることを考えてみれば、そこまで悪い作品でもないように思う。



 結局、良くも悪くも『普通(深刻な個人差を持つ表現)』だったのが私の感じた不満の集約点だが、「本当に、完全に駄目な作品だと思ったわけでもない」という点は、重ねて念を押しておきたい。
※もちろん、私の評価は個人的な感想であり、何か特定作品への絶対評価を決めつけるような意図や、創作技法の類を語るような意図はないことも、定期的に繰り返しておく。



 というわけでこの処刑鮫、私はそこまで評価していない作品だが――



 皆で観てみようぜ! 大丈夫、万一本作が合わなかろうが、事前に「微妙な作品かも……」って評判を聞いておいた上で、最初から覚悟を決めて鑑賞すれば、ダメージが想定内まで軽減されて「意外と観れた」とか思うことも多いから!
※無論楽しめればそれが一番です。



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コメント

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>七皿食うて鮫臭い

また変え川柳ならぬ変え諺か……と思ったら本当に有るのね。

No title

オオメジロザメ・・・
ジョーズの元ネタとなった事件の真犯人ではと容疑をかけられているサメだっけ。
ハットさんのサメ映画レビュー動画で言ってた

No title

パッケージはいいね

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