【サメ映画】『シン・ジョーズ』レビュー

『シン・ジョーズ』

原題:ATOMIC SHARK
監督:グリフ・ファースト/A・B・ストーン
※国内サイトではグリフ・ファーストが監督として紹介されているが、彼は監督ではなく脚本の一人であって、実際の監督はA・B・ストーンとのことである。
出演:レイチェル・ブルック・スミス, ジェフ・フェイヒー, デヴィッド・ファウスティーノ, ボビー・カンポ, マライア・ボナー
備考:グリフ・ファーストは『ゴースト・シャーク』や『フライング・ジョーズ』の監督


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⒞2016 MANU FACTURED BY AT ENTERTAINMENT, CO., LTD

 昨年日本で一大ヒットを成し遂げた『シン・ゴジラ』

 とは別に関係ないが、「別に関係ないなら自由じゃん」の精神が基本の一大ジャンルがサメ映画である。



 本作の原題は『ATOMIC SHARK』であり、“放射能汚染で突然変異を起こしたサメが、人間を食い殺していく”内容の作品だ。

 しかし、そこから“放射能汚染で突然変異”の部分だけ強引に抜き取って、話題の『シン・ゴジラ』と似たタイトルとフォントを独自に付けてみた結果、生まれた邦題が上記の『シン・ジョーズ』なのだろう。



 なお、本作のキャッチコピーは、「核実験の罪(SIN)が生み出した悪魔――」である。
 邦題の由来に関する建前か、もしくは苦しい弁解のように聞こえるが、同時に本作の内容にも沿っている秀逸な文句である。
 考えた人は楽しかっただろうなあ。




 あらすじ

 太陽が照りつけるカリフォルニア州、サンディエゴのビーチはいつもの賑わいを見せていた。

 そこに突如浮かび上がった焼死体。さらには焼かれた魚の死骸が波打ち際に打ち上げられていた。

 ライフセーバーのジーナとカプランはその謎を追っていくが、核実験の影響により進化したサメだと判明。
 体内に核エネルギーを持つサメは熱焔を放ち、ボートの釣り人、海水浴を楽しむ若者に次々と襲い掛かり犠牲者は増えていく。

 しかし人類が自らの手によって生み出した悪魔の逆襲は始まったばかりだった・・・(パッケージ裏より引用)






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⒞2016 MANU FACTURED BY AT ENTERTAINMENT, CO., LTD

↑本作のサメである『アトミック・シャーク』もしくは『シン・ジョーズ』





 というわけでこのシン・ジョーズだが、本編の前半はこれまたオーソドックスな内容のサメ映画だ。

 サメが常時オーバーヒートしている点を除けば、サメ映画に定番の展開を、軽いジョークを交えた会話や、燃え盛るシン・ジョーズの絵的なインパクト、それなりに趣向を凝らしたサメの捕食シーンで繋いでいる。
 そこに関して、特に語ることは少ないが、しかし内容に退屈することもなかったため、印象は悪いものではない。



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⒞2016 MANU FACTURED BY AT ENTERTAINMENT, CO., LTD

↑本筋とは別に関係ないが、Twitterで遊ぶ登場人物に向けて皮肉を言っている少女。
SNSに対する風刺は最近のサメ映画のトレンドだ。




 一方で、本編の中頃では多少サメの出番も減るが、そこは序盤と違って、典型的なサメ映画の様式美から外れた独自のネタの応酬でカバーしている。

 本編が約三十分も過ぎた頃から、本作には、中盤での“レストランで放射能に汚染された魚を食べた途端、客が爆発していくシーン”や、終盤での“ライターのシーン”のような、奇妙なセンスに満ち溢れた見所が大量に顔を覗かせてくる。
 それは本来サメ映画に求められる内容とは異なるかもしれないが――単純に出来が良かったので、これはこれで楽しめた。

 また、前半では冷静に事態へと対応していくキャラクターだった主人公が、物語の進行に伴い役割が徐々に崩れていった末に、中盤以降では行動が一々裏目に出るコメディリリーフと化していたのも、本作の作風の変移を表しているかのようで面白い。
※序盤から元々コミカルな空気を漂わせていた本作だが、中盤以降は完全に作風がギャグである。



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⒞2016 MANU FACTURED BY AT ENTERTAINMENT, CO., LTD

↑スローモーションの演出に壮大な音楽を乗せて、シン・ジョーズへと果敢に立ち向かう主人公。
通常のサメ映画ならクライマックスの決着に使われるような、劇的なカットだが――本作では普通に攻撃を外す。




 そして、一応“放射能汚染で突然変異を起こしたサメ”というシン・ジョーズの設定を活かした決着の方法も、無茶苦茶だが一応は考えられており、結論を言えば“見事なバカ映画”として最初から最後まで笑ってしまった。



 というわけでこのシン・ジョーズ、「そういうものと割り切れる方々にオススメしておきたいサメ映画」である。
 
 万一、本作をジョーズかシン・ゴジラの新作だと思って購入された方々には御愁傷様な品質だが、分かっていて鑑賞すれば楽しめない作品でもない。

 少なくとも、設定だけ奇抜で本編は虚しいサメ映画の連続に倦んでいる方には、規模相応に内容が捻ってあるだけ人類の叡智の炎に近い作品かと思われる。





 なお、吹替版では後半から「まずは君が落ち着け(原文ママ)」「君は好きにしろ、俺は好きにする(原文ママ)」など、『シン・ゴジラ』を意識したかのような台詞が勝手に挿入されている。

 これは国内の吹替版に限った仕様であるため、上記のパロディが性に合わなかった場合、字幕版に変えれば問題ないが――
 


 私は好きに観た。君等も好きに観ろ。



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コメント

非公開コメント

理研「(任されてもどうしようも)ないです」

No title

基本、水属性のはずの鮫に火属性付加って最悪じゃね?
と思ったゲーム好きな私。

しかし2017年になってもこういう『お馬鹿』な映画が作られるって、本当に素晴らしいことだと思います。

・・・アメリカ人はゾンビと鮫が好きすぎると思った。

やばい、ちょっと久しぶりに見たいかもしれないこの映画

No title

僕も好きに見ますわ
これは見なけりゃいけない作品だと思いましたわ

観ました!
核をおもちゃ扱いしてしまったことはナンセンスですが、物語は良い意味でナンセンス。
楽しめました。吹き替え版は露骨にシン・ゴジラを意識してるんですね!もう一度見てみます!

No title

赤く燃えた、メルトダウン寸前のサメが出てくるという点では、
シンゴジラよりもゴジラvsデストロイアに似てるかもしれない(適当)

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