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【サメ映画】『パニック・マーケット』レビュー

 2012年ヴェネチア国際映画祭出品作品
『パニック・マーケット』

原題:BAIT
監督:キンブル・レンドール
出演:ゼイヴィア・サミュエル, シャーニ・ヴィンソン, ジュリアン・マクマホン
備考:中国では劇場公開第1週目で『アバター』を超える興行収入を出したとのことである


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⒞2011 Bait Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen Queensland Pty Limited, Media Development Authority of Singapore, Blackmagic Design Films Pte Ltd.

 青い薔薇の花言葉と言えば、近年まで『不可能』もしくは『存在しないもの』などと定められた、夢物語を指すレトリックだったが、技術の進歩によって実物が誕生した現在では、『夢は叶う』に改められたということだ。

 一方で、地獄の荒野のように不毛なサメ映画界においても、近年では、少ないとはいえ確かに数本、存在しなかったはずの良作が一輪、また一輪と花を咲かせている。

 まあ、実際のところは綺麗な蒼というより微妙な紫といった程度のイロモノなのかもしれないが、それでも長い歴史の茨道を超えて、一定以上の品質まで達したサメ映画が本作、『パニック・マーケット』だ。



 だが、“そのような作品に限って世間的な知名度がまた絶妙に低い”のがサメ映画界の不文律であるため、今回は「パニック・マーケットは面白いんだよ! 面白いサメ映画なんだよ!」との魅力を伝える目的で、本作をレビューしていこう。




 あらすじ

 大洪水に呑み込まれた一軒のスーパーマーケット。
 そこに閉じ込められた13人の生存者たち。

 水中からは巨大な人喰いザメが、天井からは人喰いガニの大群、水上には高圧電線が垂れ下がり……。
 しかも13人の中には強盗犯、殺人鬼が潜んでいた。

 次々と彼らを襲う危機また危機!
 いま、地獄のスーパーマーケットからの脱出を求め、彼らの生命を賭けた挑戦が始まろうとしていた!(パッケージ裏より引用)





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⒞2011 Bait Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen Queensland Pty Limited, Media Development Authority of Singapore, Blackmagic Design Films Pte Ltd.

↑本作冒頭に登場する殺人ザメ。
元々3D映画として公開されていたため、本作には“画面手前に物が向かってくる”演出が多いが、
3D効果だけに甘えない、迫力に溢れた映像を山場で何度も見せてくれているため、手法が単調とも感じることがなく個人的には好印象だ。




 パッケージやキャッチコピーでは、人喰いザメと並んで本編に登場する人喰いガニの存在が妙に推されているが、劇中での出番は僅か一回、それも特に人を食べるわけでもないため、殺人カニ云々については別に忘れてしまって構わない。

 いつものことなので今更どうでもいいが。



 それはともかくこのパニック・マーケットであるが、本作は“津波によって浸水したスーパー・マーケットに閉じ込められた人々が、殺人ザメの襲撃に抗いつつ、店内からの脱出を図る”という、ジョーズに便乗した数多のサメ映画群とは一風変わった内容の作品だ。

 閉所での殺人ザメとの攻防を描いた作品には、他に『ディープ・ブルー』などが挙げられるが、本作を鑑賞したときの印象は、ディープ・ブルーはもちろん、似たような設定の他作品とも大分異なってくるだろう。

 というのもこのパニック・マーケットに登場する人々の行動原理は、“どうやってサメを殺すか”というより、“どうやってサメの攻撃を凌ぎつつ、店内から出るか”であり、『サメの捕食シーン』こそ多いものの、ディープ・ブルーなどのような『ヒトとサメとの戦闘シーン』や、『ヒトがサメの始末を目的に行動するシーン』自体は意外と少ない作品である。
※もちろん、これは「似たような設定の他作品と比較した場合」の比重の問題であり、終盤にはヒトとサメとの戦闘シーンも用意されている。



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⒞2011 Bait Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen Queensland Pty Limited, Media Development Authority of Singapore, Blackmagic Design Films Pte Ltd.



 更に言えば本作は、“自然災害という突然の非日常的な脅威に晒された無力な一般市民が、どのように工夫を凝らしつつ、困難に臨んでいくのか”といった部分にも焦点を当てた作品であるため、本作はパニック映画でも『モンスター・パニック』というより、『ディザスター・パニック』に近い一面がある。



 そして、“各々が問題を抱え、そして人生から逃げていた主要人物が、未曾有の大混乱という避けられない問題へと挑んでいく”という物語は、テーマとしては多少着地点が不明瞭に思うところもあるものの、パニック映画としての主題を阻害しない程度に描かれており、これも十分といったところだ。



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⒞2011 Bait Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen Queensland Pty Limited, Media Development Authority of Singapore, Blackmagic Design Films Pte Ltd.

↑スーパー・マーケットの品物で即席の防具を作り出した登場人物の一人。
良い場面なのだが単品で観たときの絵面は笑える。




 一方でパニック映画としては、序盤の絶望的な大津波から始まって、緩急の付いたテンポの良い展開に、十分なサメの出番、シリアス一辺倒な主人公一同の緊張感を和らげるかのように挿入される、別視点での能天気なカップルの会話劇など、見所には事欠かない。


 クライマックスで、妙にスタイリッシュなアクションと共に行われる、“ジョーズの1と2のラストを合体させたかのような狙撃シーン”などは非常に格好良く決まっており、初代ジョーズから続くサメ映画史の狙撃シーンの中でも、特に秀逸な名場面として数えたいほどであった。


 生存者に意外性がなく、“生き残りそうな人が案外大勢生き残り、死にそうな人は大体死ぬ結末”には物足りない部分もあったが、逆に言えば他に不満が残るような箇所もなく、総合的には大満足だ。



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⒞2011 Bait Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen Queensland Pty Limited, Media Development Authority of Singapore, Blackmagic Design Films Pte Ltd.



 もちろん、人物的な描写の不足もしくは設定的な考証の不備を逐一指摘していけば、上で特に述べた数を超えて、更に挙げられてしまう作品ではあるが、それはそれとして娯楽として欠かせない要点は案外押さえられている作品でもある。



 ましてや本作はサメ映画である。“穿った見方をしなくとも楽しめる”というだけで立派な宝物なのである。



 というわけで本作、“完璧ではないにしろ上出来な良作”として、ここに感想を残したい。



 『パニック・マーケット』、オススメです! 



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コメント

非公開コメント

ジョーズやディープブルーと一緒でいいから観れ! 観たら面白いから!って作品ですよね
個人的には店内組よりも地下駐車場組が好きです。

お、遂にこの作品もレビューされましたか。
以前天使にサメ映画をの動画で面白いサメ映画の1つと一瞬だけ紹介していたのを見て、鑑賞してみました。
いや、想像以上に面白かったです(小並感)

No title

>水曜には高圧電線が垂れ下がり

なんかこう、タイムリミット的なギミックでもあるのかとw

No title

この映画の残念な点は殺人カニの詐欺さにある。
確かにカニのせいで死んだけどさ。

No title

強盗のおっちゃんに対する好感度がマックスだぜ
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