【パニック映画】『キングスパイダー』レビュー

『キングスパイダー』

原題:CREEPIES
監督:ジェフ・リロイ
出演:リサ・ジェイ, ジェフ・ライアン, フォーブ・ダラー, ロン・ジェレミー
備考:別に書くことがないので仕方なく解説するがキャストのロン・ジェレミーは約25㎝のペニスで有名


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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.

 かつてのアルバトロスがリリースした作品の中でも、特に出来が酷いということでZ級映画史に名を馳せたグランドマスターが、このキングスパイダーだ。

 キングの称号に相応しく、周囲全方面に喧嘩を売っているような内容の本作は、Z級映画界のメジャーピースとして盤上に長く腰を据えているが、それはつまり手の打ちようがない作品であるという意味に過ぎないため、私としては本作を観るより友達と普通にチェスでも楽しむことをオススメする。

 だが、悪手と知ってなお黒い駒を手に取る皆様のために、今回はこのキングスパイダーをレビューしていこう。




 あらすじ

 米軍機密を扱うフットヒル実験センター。
 上等兵が誤って実験ケースを落としてしまい、生物兵器が逃げ出してしまう。
 その生物兵器とは、遺伝子操作で生み出された殺人蜘蛛だった!

 その殺人蜘蛛は瞬く間に大繁殖。センター内はもちろん、ハリウッド大通りを我が物顔で大行進!
 チャイニーズ・シアターが、ハリウッド・ボウルがそして傲慢なハリウッドの住人たちが殺人蜘蛛の餌食となっていく。

 米軍は部隊を送り込み事態の収拾を試みたが、殺人蜘蛛の前ではなす術もなく犠牲者が増えるばかり。
 そして米軍は「スパイダー大作戦」に突入。装甲車やヘリを出勤させ、ついには小型原爆でハリウッドごと殺人蜘蛛を一掃しようと図った。

 しかしその時、地面が突如として割れ、とてつもなく巨大な蜘蛛「キングスパイダー」がその姿を現わした!!(パッケージ裏より引用)








 というわけでこのキングスパイダーだが、その内容は概ねハリウッドへの私怨によって構成された作品である。


 本作は、『遺伝子操作によって生成された巨大グモと、米軍による攻防を描いた、怪獣映画のような戦闘パート』『ハリウッドを訪れた民間人一同が、無数の小型グモに襲われる、ホラー映画のような騒動パート』という二本のストーリーラインから形成されている。



 そして前者の戦闘パートでは事態の収拾を図る米軍が、当然街を荒らす巨大グモに挑むわけだが、そこで未知の怪物を倒すべく作戦を練る軍隊の会話には、何故か本作の舞台であるハリウッドに対する悪口が執拗に挿入されるのである。



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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.


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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.


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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.



 そして実際、本作の米軍はハリウッドの一般人への被害を無視して巨大グモへの攻撃を開始していく。



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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.


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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.


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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.



 そのまま米軍は巨大グモと交戦、多大な犠牲を出した末に相手を撃破するのであるが、そこでも巨大グモのついでに意味なくハリウッド・サインが爆破されている。



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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC. 


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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.


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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.



 監督はハリウッドで一体何を揉めたのか。



 だが、このキングスパイダーが向けた憎悪の対象は、ハリウッドだけに留まらなかった。



 本作の中盤では、米軍が巨大グモやハリウッドと戦っている中で、脚本上まったく意味はないが画面外で密かにエミネムさんが爆撃を受けているのである。



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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.



 エミネムは何も悪いことしてない。



 とのように、監督の個人的な感情が随所で爆発しているような、大人気ないシーンの数々、それがこのキングスパイダー唯一にして最大の見所だ。



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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.

↑市民を無視して巨大グモを攻撃する正当性を熱弁する軍人の一人。
ハリウッドへの敵意が妙に籠もった台詞の数々は、軍人というより元映画関係者のそれだ。




 ちなみに本作、上記の『米軍と巨大グモとの戦闘パート』もとい『ハリウッドへの誹謗中傷パート』を除いた場合、特に語ることもないほどに出来が悪い。



 2003年に製作された作品であるにもかかわらず、“生物として動かすことを放棄された適当な人形とCG”によって表現された殺人グモの品質は、笑えるとはいえ出来不出来で言えば最悪だ。



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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.

↑遺伝子操作によって作られた無数の小型グモが、何故か合体することで生まれた本作のクモ・『キングスパイダー』。
通常の殺人グモより大きく、強く、そして積極的にハリウッドを破壊する習性を持つ。




 もっとも、派手に火薬が使われていることもあって、一応『米軍と巨大グモの戦闘パート』の方の特撮は観れないこともない。

 だが『小型グモと民間人達の騒動パート』の方の特撮は酷く、特にCGなどは“質感が安いだけでなく完全に殺人グモが画面から、文字通り浮いてしまっている”始末である。



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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.

↑ハリウッドの医者を襲う殺人グモ。
糸ではなく安価な綿で獲物を捕獲する習性を持つ。




 そして『民間人と殺人グモの騒動パート』の方でも、作品と無関係の他人に対する悪口は欠かさない。



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⒞2004 AMSELL ENTERTAINMENT INC.



 直接言って来いよもう!



 なお、脚本については、特別ストーリーと呼ぶほどのものがない『米軍と巨大グモの戦闘パート』部分を除いて完全に『バタリアン』のプロットの模倣に過ぎないため、本当に大して語ることがない。
 もちろんオチも一緒である。





 だが、チープな絵面はそれはそれとして愛嬌を感じる部分もないわけではなく、ストーリーも展開のテンポだけは良かったため、本作をレンタルする時点で覚悟を決めつつ、それ相応の観方を備えた上で鑑賞すれば、楽しめる……楽しめる作品ではあるだろうか。

 少なくとも分かりやすくネタが詰まっているだけ、鑑賞に耐える部類のZ級映画ではあるとも思う。

 かつ、出たと思えば消えていく低予算パニック映画の中では、リリースから十年以上経った今でも比較的レンタルショップで見かける作品であるため、時間に余裕があれば本作を鑑賞してみるのも一興だろう。



 最後に、本作には何故か『キングスパイダーVSメカデストラクター』などという需要不明の続編があるため、本作に興味を持たれた方は続編と二作合わせて鑑賞することをオススメする。


 

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コメント

非公開コメント

No title

クリスマスプレゼントありがとうございます!今回も最高に笑わせてもらいました。

キングつまり雄だから
卵は産まない筈だし
続編フラグもない
勝ったッ!第1作目完!

No title

>二作合わせて鑑賞することをオススメ
お薦めするの!?

巨大蜘蛛英語と言えば、クリント・イーストウッドの映画も、蜘蛛に追い回される場面の(登場人物が)爆笑する内容でしたが、呪われているんでしょうか。

あ、でもエメリッヒのとか、ラバランチュラは普通に面白かったし、そうでもないのかな。

メリークリスマス!

No title

モチロン
黒い駒と悪手を恐れぬ(希望する?)
紳士諸兄には遠慮は無用だぜ!!

楽しく拝見させていただいてます。

結論:そんなことよりラバランチュラ見ようぜ!

No title

監督がメッセージを込めた作品を語る上では外せない1本ですね。監督がこの作品で何を語りたかったか、痛いほど明確伝わってきます

No title

行き過ぎたハリウッドの商業主義に対する警鐘である可能性が

無いな

No title

クモと聞いたらちょっと前にみたメガ・スパイダーを思い出します。あの作品は普通に面白かったですが、この作品はなかなか覚悟が必要そうですね。

いつだか私がみた作品で
プリズンアイランド 拷問地獄女刑務所
は見ましたか?
このレビューを是非聞かせて欲しいです。

No title

そろそろクモ映画タグが必要では?

ゴア描写はなかなかだった気がする