【サメ映画】『フランケンジョーズ』レビュー

 あるいは現代のプロメテウス
『フランケンジョーズ』

原題:Sharkenstein
監督:マーク・ポロニア
出演:グレタ・ボルコバ, ケン・バン・サント, ジェームズ・カロラス, タイタス・ヒムルバーガー
備考:一応2016年の作品であることは強く念を押しておく


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⒞ 2016 Wild Eye Releasing & Princ Films, Inc.

 長年に渡るキャリアは十分にベテランと呼べるものの、決して初心を忘れず一貫してアマチュア未満の作品を撮り続けている稀代の天才、マーク・ポロニア。

 その真摯な姿勢によって、日米を問わず数多のコアなファンを掴んだが特に良い評価は得られていない彼が、ついに映画業界のヨハネスブルグ、すなわちサメ映画へと手を出した。


 邦題は『フランケンジョーズ』


 その内容はナチスが秘匿したフランケンシュタインの製造技術によって、生体兵器に作り替えられたサメが人々を襲う、前代未聞のパニック映画ということだ。





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⒞ 2016 Wild Eye Releasing & Princ Films, Inc.





 ポロニアァァァァァーッッッッッ!!!!!




 あらすじ

 1942年―。第二次世界大戦の劣勢を打破する為、ナチスが極秘に開発していた生物兵器が破壊された。
 この失態でドイツは敗戦。世界に平和が戻った…。

 現代―。観光で生計を立てる、海辺の小さな町に、突如、巻き起こった鮫の襲撃騒動。
 町民は鮫退治に乗り出すが、彼らが見たのは世にもおぞましい人造生命体フランケンジョーズだった!

 そう、第三帝国が生み出した怪物は生きていたのだ!(公式HPより引用)








 本作を一言で表すならば、『初めてハンディカムカメラというものを買って喜ぶ親父を微笑ましく放置していたら、彼が休日に近所で撮った動画を映画と称してそのまま商業ルートに乗せていた』ような作品だろう。



 フリー素材の流用はもちろん、“ストップモーションで動くサメの人形”や、“露骨なブルーバック合成”などの映像技法を駆使して製作された本作の品質は、極端に古典的なためむしろ骨董品のように味わい深く、チープ云々以前にもはや指摘した方が馬鹿を見る究極の護身を完成させている作品。

 それがフランケンジョーズである。



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⒞ 2016 Wild Eye Releasing & Princ Films, Inc.

↑本作のサメ・『フランケンジョーズ』
ここでは合成の境目が縁取りで処理されているが、スタッフも流石に酷いと思ったのか、以降のシ-ンでは見られない。




 一方で、脚本や構成などに関して言えば、“展開は支離滅裂ながら、自主製作規模かつトンデモ路線のパニック映画としては意外にも要点を押さえてある作品”でもある。

 一応物語には起承転結がありテンポも軽快、自主製作映画には特有の無編集の映像を延々と垂れ流しているようなシーンもなく、序盤から終盤までサメの出番と多彩な活躍は確保されているなどと、少なくとも絵的な出来に反してそれなりに観る側を意識した内容には作られているのだ。



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⒞ 2016 Wild Eye Releasing & Princ Films, Inc.

↑フランケンジョーズを開発した科学者による、「あえてサメを素体にした理由」
「この設定で作るなら別にサメ映画じゃなくてもいーじゃん」とか抜かした輩はこれで全員撃滅だ。




 そのため、本作の出来自体は極めて拙く、褒められるようなところがないように思える反面、鑑賞していて退屈するような箇所は非常に少なく、個人的には“下手な凡作より抜群に面白い最高の単純娯楽作品”のように感じられたのである。



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⒞ 2016 Wild Eye Releasing & Princ Films, Inc.

↑いつものポロニア作品に出演しているいつものキャストが本作にも数名出演。
松明の炎が非常にチープなのは、主神ゼウスがポロニアから火を取り上げたためである。




 まともな映画を期待して借りた者には無用の長物だが、監督がポロニアだと分かった上で観た者には、度を越した数々の欠点から期待以上の衝撃と爆笑を与えてくれる、言うなれば逆説的名作映画、それがフランケンジョーズなのだ。





 素人に万札一枚握らせて「これで映画一本作ってみろ」と無茶を言うバラエティー番組の企画のような出来の本作だが、だからこそ「あーこれはまともな映画じゃねえな」と割り切れば傑作に感じられないこともないこのフランケンジョーズ、絶対に一見の価値がある。



 残念ながらソフトの一般販売はされておらず、現時点では一時的なレンタルのみの鑑賞を許されている、何か執行猶予の付いた犯罪者のような扱いを受けている本作が、いずれ圧倒的な人気によって市販されるよう、当ブログでは積極的に皆様へとオススメしていきたい。



 まあないだろね。

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コメント

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No title

2016年…一体何十年前なんだ

いつもながら
ジャケットの絵
を描く人のギャラ
が一番高そう
・・・高くない?

フランケンシュタイン博士「私の名前をつけるのやめて…やめてクレメンス…」

 

雑コラと初めてハンディカムカメラというものを買って喜ぶ親父を微笑ましく放置と聞いてなんとなくサウスパークの巨大モルモット大暴れの回を思い出した
しかしフランケンという割には複数のサメをバラバラにして部品をつぎはぎにしたんじゃなくて一匹をバラして縫い合わせただけに見えるな

いつも楽しいレビューありがとうございます。今回もとても面白かったです。

No title

正月になるとアイドルやらタレントやらが隠し芸したり、寸劇したりする番組ありましたけど、あれとどっちがクオリティ高いんでしょうね
近所のツタヤに置いてあったらどうしよう・・・。
借りろという、神の意志と思うことにしよう。

腹に映せないようなタトゥーでもしてるのかウェストを披露したくないのか、不自然なまでに水着シーンを拒否するメガネ金髪女&男の胸毛ばっか映る水着シーンは勘弁して欲しかったw

鮫映画とポロニアなら最強だろ?

鮫というかブダイみたいな顔してるな
そこらへんの布を縫い合わせて作ったんだな、リサイクルだね

せめて松明くらい本物を使え……

No title

どれだけ自然に見せるかを頑張る合成処理で、黒色の枠取りとか斬新すぎてヤバい

No title

ジャケットの再現度たけーな
だって本編でサメが枠取りされてるってことをちゃんと表現してるんだぜ?(白目)

No title

↑3
撮影に使った場所が焚き火禁止だったんじゃないでしょうか
流石に経費削減で実際燃やすよりCG作るほうが安いことは無い…と思います

No title

いやでもこれデビルシャークのマイナス30倍ぐらい面白かったよ(デビルシャークを100点満点でマイナス1とした場合の評価)

No title

またナチスか壊れるなぁ(半笑い)
地味にマーベルのヒドラといい
とりあえず悪党に使われてる気もするお国柄が解りますねw

しかしキャプのみで笑えるのがまた