【サメ映画】『メガロドン』レビュー

 まったくこのスタースクリームめ!
『メガロドン』

原題:MEGALODON
監督:ゲイリー・J・タニクリフ
出演:マーク・A・シェパード, ロビン・サックス, アル・サピエンズ, リーアン・リトレル, ジェニファー・サムフィールド, エヴァン・ミランド
備考:監督はヘルレイザー4やミミックⅡにブレイド、そして本作のSFXも担当している


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⒞2002 Megalodon Productions LLC.

 かつての『W-JAWSキャンペーン』において、『シャーク・ハンター』と同時にリリースされたもう一本のサメ映画が、この『メガロドン』だ。

 監督は数々の大作で(監督ではなくSFX担当として)確かな実績を残してきたゲイリー・J・タニクリフ。

 主演には『スーパーナチュラル』のクラウリーとして特に名の知れたマーク・A・シェパードを据え、脇役にも俳優としての経験豊富な面子が、豪華かどうかは怪しいがとにかく揃っている。
※アル・サピエンズ(サピエンザ)はギャレスの方のゴジラでムートーの研究施設の警備をしていた人だよ。



 もっとも、高い実績を誇るキャストやスタッフが集まったところで、必ずしも良作が作られるとは限らないのが映画である。
 ましてやそれがサメ映画という万魔殿ならば尚更だ。
 
 そして本作を観て私が感じた、このメガロドンに対する印象としては―



 良くないけどサメ映画基準だから良かったよ。



 というわけで『メガロドン』である。

関連:【サメ映画】『シャーク・ハンター』レビュー




 あらすじ

 空策不可能と言われたグリーンランド沖の油田にそびえ立つ世界最大の石油削施“コロッソス”。
 ニュース番組の取材で訪れたクリスティンとジェイクは、24億ドルの建設費をかけた施設やハイテク機器に目を見張る。

 完璧な安全性を誇るコロッソスだったが、時々起こる微震の原因を調査するため、彼らは従業員と共に、最新鋭の潜水艇で水深1500メートルの海底へ。

 掘り屑を取り除くチューブに異変を見つけた一行はその部分を持ち帰り、解体してみる。すると中から7000万年前に生息していた魚を発見した。石油掘削によって深海に沈んでいた古代生物が浮上してきたのだ。

 それは、その後に彼らを襲う更なる恐怖の始まりだった…。(パッケージ裏のSTORYより引用)












 この映画にメガロドンが登場するのは、本編開始から約50分が過ぎた後のことであり、それまで劇中には『メガロドン』の姿や影どころか、名前すら一切出ない。
※上記のあらすじにまったくサメが出てきていない時点で察して欲しい。



 それでは最初の約50分に、本作はメガロドンではなく何を見せてくれるのかというと―









 謎に包まれた海底に作られた掘削施設や―



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⒞2002 Megalodon Productions LLC.



 謎の細菌を保有する謎の深海魚や―



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⒞2002 Megalodon Productions LLC.



 謎を秘めし深海の洞窟などである。



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⒞2002 Megalodon Productions LLC.











 そしてこの映画の題名はメガロドンである。



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⒞2002 Megalodon Productions LLC.



 何故だ。







 ちなみに本作、後半からは、“前半で見せた深海魚や海底洞窟などの展開を完全に放棄した上で”、突然画面に現れたメガロドンと人類とで死闘を演じてくれる。



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⒞2002 Megalodon Productions LLC.



 何故だ。



 要は本作、“最初の50分は深海探索アドベンチャー映画”“最後の40分は巨大鮫パニック映画”として、それぞれ完全に独立してしまっているのだ。

 そのため予備知識もなく本作を鑑賞した場合、“自分が一体何の映画を観ているのか分からない”という状況に陥ってしまい、少なからず困惑してしまうことは避けられないだろう。

 “邦題だけでなく原題まで『MEGALODON』な癖にメガロドンが全然出ない”、そこが本作最大の欠点だ。



 一方で本作、構成や展開の時間配分には深刻な欠陥を抱えているものの、映像技術については比較的気合が入っているようにも思われる。







 例えば海底洞窟のシーンなどでは、深海に揺らめく光がサメ映画らしからず幻想的な「静」の映像美に少しばかり驚かされ―



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⒞2002 Megalodon Productions LLC.





 代わってメガロドンのシーンでは、序盤に比べるとチープな質感が浮き彫りな点を差し引けば、サメ映画らしく巨大な生物が派手に暴れ回る「動」の大迫力を見せつけてくれている。



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⒞2002 Megalodon Productions LLC.



 少し表現が大袈裟かもしれないが、それでも“当時のB級映画、そしてサメ映画”としては十二分に良い出来と言えるだろう。
※同じ2002年の作品である『シャーク・ハンター』『ディープ・ライジング コンクエスト』と比較してみよう! 特に後者!



 ただし、クライマックスにおけるサメとの決着シーンでの爆発が本当に、死ぬほど適当なため、肝心なところで盛り上がりに欠けているのもまた事実であるが。



 また、キャラクターにも事実上の主人公である石油会社の社長を筆頭に、魅力的な人物が揃っており、「途中で何の映画を観ているのか己の認識を疑ってしまう」という致命的な短所を除きつつ冷静になって観れば、意外と長所の多いようにも感じられる作品だ。



 まあ、“『ヒロインの相棒である、一見して準主人公のような若い男』が、劇中一切活躍しないどころか、サメに食われることさえなく、知らない間にヘリコプターが揺れたとき機材に頭を強く打ってそのまま死んでいた”ときには何事かと思ったが。



 というわけで総評は、“事前に情報を収集した上で、なるべく深く考えなければ割と楽しめる”といった具合の作品である。



 舞台設定といい合間の展開といいジョーズとディープ・ブルーを足してアビスで割ってからメガロドンに食わせたような内容の作品ではあるが、それでも「まったく駄目というより、良いところと悪いところがそれぞれ極端過ぎるほど別れている」といった印象の強い本作は、割と洒落にならないほど酷い作品も多いサメ映画界において駄作と呼ぶほど悲惨な作品でもないように思われる。

 もちろん上記の感想は相対的な評価に過ぎないが、一応サメ映画を二桁以上観ている方には一見の価値のあるかもしれない作品だとしてオススメしておこう。



 でも、まあ、クソ映画かどうかと聞かれたらクソ映画と答えちゃうかな……。真面目に。



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コメント

非公開コメント

まず最初に撮りたかった映画が二つあって、でも予算が足りないから二つを組み合わせて作り上げた可能性は。

なんだ、いつものパターンか。

見てみようかとamazonで探したら中古で1万円超えてるとかなんなんですかね

No title

いろいろ荒いけど登場人物がほぼ全員魅力的で観てていらいらしなかったのですべて許せました