【ホラー映画】『魔獣星人ナイトビースト』レビュー

『魔獣星人ナイトビースト』

原題:NIGHT BEAST
監督:ドン・ドーラー
出演:ケヴィン・ロウ, カール・サンディス, エド・バトル, ナンシー・ヘンドリクソン, デボラ・ルース
備考:本作の音楽は当時新人だったJ・J・エイブラムスが担当している


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⒞1982 Amazing Films Prods. Dolby and the double-D symbol are registed trademarks of Laboratories.

 生涯に渡って“ゴミのような映画”あるいは“映画のようなゴミ”を何本も撮り続けてきた功績により、エド・ウッドと並んで世界に名を馳せた映画監督、ドン・ドーラー。

 未だ語り継がれるドン・ドーラーの偉業には、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で近年時の人と化した映画監督、J・J・エイブラムスが、「彼の仕事に誰も注目していないが、それは当然だと思う」と、少なくとも彼の仕事より愉快なコメントを残している。



 そのような“多分フィルムとトイレットペーパーの区別が付いていなかった男”、ドン・ドーラーが関わった作品の中では、Z級映画ファンからの評価も高い逸品が本作、『魔獣星人ナイトビースト』である。



 別に面白いわけではない。




 あらすじ

 アメリカの田舎町ボルチモアに、ある日凶暴なエイリアンが出現!

 街の人が次々と襲われていく中、科学者や保安官らが協力してエイリアンに立ち向かっていくのだが…

 恐怖の大王による地球侵略を、血まみれの大量殺戮で描いたSFホラーの傑作。

 世界中のホラーファンに愛されるドン・ドーラーの代表作が遂に登場!!(パッケージ裏より引用)






 本作の配給会社はトロマなので、内容については観る前の段階で相応の覚悟を決めておいて欲しい。



 というわけで、“冒頭から宇宙船が地球に不時着したかと思うと、突然中から出てきた宇宙人が動機の説明もなく地球人を殺して回る”という、この魔獣星人ナイトビーストだが、序盤は割に観れる範疇の出来だ。

 展開が微妙に意味不明な部分はともかく、物語の早い段階からスラッシャー展開が始まるのは印象が良い。

 また、スプラッター演出も、低予算とはいえ序盤の内は力を入れているようで、“宇宙人に襲われた犠牲者の腹部から、内臓が零れるシーン”などは、「良いとは言えないが、酷いと言うほどでもない」程度には凝っている。
 素直に褒められるわけではないが、一応満足させてくれる出来は保持しているのだ。

 それ以前に本作は、ドン・ドーラー作品特有の、「演出が適当過ぎて、画面を観ているのに何が起こっているのか全然分からない」というシーンが、本作には皆無である。
 少なくとも本編の内容が把握可能な時点で、本作はホラー映画として非常に良い線を行っている作品だろう。
※別に面白いわけではない。



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⒞1982 Amazing Films Prods. Dolby and the double-D symbol are registed trademarks of Laboratories.

↑闇夜に紛れて現れるナイトビーストの登場シーン。
ここは素直に本作で一番クールな見所だ。




 だが問題は、ナイトビーストによる最初の襲撃が一段落した中盤以降だ。

 前半と違ってナイトビーストの出番は極端に減り、代わって“宇宙人そのものとは特に関係のない殺人事件”や、“宇宙人そのものとは特に関係のない男女関係”などの展開が本編の大半を占めてくる。

 挙句、序盤では最悪と言うほどでもない程度に品質を保っていたナイトビーストのスラッシャー演出も、“雑に人形の手を転がしておくだけ”、“適当に爪で突き刺すだけ”などと徐々に質を落としていくのも頂けない。
 上記の欠点については、終盤の“市長の首を捻じ切るシーン”などで多少巻き返すが、他に見所と呼ぶ程の見所もない作品である以上、そこはもう少し押さえて欲しかったところだ。

 もっとも、中盤にも“唐突に欲情したヒロインが服を脱ぎ始めるシーン”などの見所がないわけではないが。
※別に面白いわけではない。



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⒞1982 Amazing Films Prods. Dolby and the double-D symbol are registed trademarks of Laboratories.

↑一撃必殺の光線銃を構えるナイトビースト。



 そして設定がよく分からないまま単調に物語が進み、結局“無駄に色々起こった割に最後は電流によってナイトビーストが呆気なく爆発四散するラスト”を迎えた後に始まるエンドロールの中で、果たして本作によって自分が有意義な時間を過ごせたかどうかを自問自答するなら、胸を張って「クソが!」と吐き捨てられる作品、それが『魔獣星人ナイトビースト』である。



 もっとも、本作には少し古い『怪奇映画』独特の、緩く温かいような雰囲気が漂っていないわけではないので、そこに味を感じられる方ならば、割と見て損はない作品と言えるかもしれない。

 加えて、何かとエド・ウッドと一緒に名を挙げられることも多いドン・ドーラーだが、“ドン・ドーラー作品の方が、エド・ウッド作品に比べて、映像に色が付いているだけ少し豪華な気分に浸れる”という長所を持っているとも言えるだろう。
 視聴者が積極的に付加価値を探さなければ、本編に短所しか見つからないという部分では、双方共通しているが。



 とにかく、出来としては非常に厳しいのが否めない『魔獣星人ナイトビースト』だが、ドン・ドーラーが特定の界隈で有名な映画監督であるというのもまた事実であるため、話の種に彼の作品を観ておくのも悪いことではないだろう。

 本作を通して得た教養が人生で何の役に立つのかという話は置いておいて、良くも悪くも『本物を知っておく』と何か見識が広がるという可能性も考えられるので、時間の余裕と寛容な精神を併せ持つホラー映画ファンには、本作を含めたドン・ドーラー作品を、一本ぐらいオススメしておきたい。



 別に面白いわけではない。



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コメント

非公開コメント

何度も何度も

面白いわけではない言い過ぎです!

No title

クソ映画の舞台にボルチモアってやたら多いけど、呪われてるのかあの街は・・・。

見終わった後、「クソが!」とまでは呟きませんでしたが、地獄のアマゾネス軍団を借りれば良かったって後悔しました。

夏のサメ映画

何を血迷ったか(ロスト・バケーションの宣伝?)GYAO! でサメ映画特集実施中

No title

エド・ウッドと比較されるってすごい才能だな。
別に面白いわけではない。

No title

でもナイトビーストのデザインだけは結構いけてると思う。
毛を抜いた猿かチンパンジーを奇形化させたような凶悪な面もグッド。
…その他が「アレ」なのは確か。