【サメ映画】『シャークトパスVS狼鯨』レビュー

『シャークトパスVS狼鯨』

原題:SHARKTOPUS VS WHALEWOLF
監督:ケヴィン・オニール
出演:キャスパー・ヴァン・ディーン, キャサリン・オクセンバーグ, イギー・ポップ, ジェニファー・ウィンガー
備考:キャストが無駄に豪華


svw01
⒞2015 Emerald City Pictures, LLC

 ロジャー・コーマンを製作総指揮に『ジョーズアタック2』をリメイクした作品であり、世間の評価は厳しいがユニークな怪物の造詣が妙に話題となった一作目・『シャークトパス』

 初代シャークトパスの続編であり、プテラノドンとカマスが合体した怪物を追加投入した、内容自体は意外と堅実な二作目・『シャークトパスVSプテラクーダ』

 以上の前二作で流石にもう飽きただろう懲りただろう諦めただろうと思いきや、昨年シャークトパスシリーズに、映画業界へのストーキング行為のような最新作と、新しい挑戦者が登場した。



 シャチとオオカミの遺伝子を組み込まれた野球選手が、満月の光を浴びることにより、水陸両用の改造哺乳類・狼鯨へと変身! 打倒シャークトパスに向けて動き出す!

 そして現れる第三勢力・ブードゥーの呪術を行使する教団と、カンフーのマスタリーを会得したキャスパー・ヴァン・ディーンもエントリー! 同じく二匹を付け狙う!

 油断するなシャークトパス! 今度の相手は一筋縄じゃ行かないぜ!




 と今回はもはや映像作品というより闇鍋に変貌を遂げた三作目、それが『シャークトパスVS狼鯨』である。



 ところで本作、一作目や凡百のサメ映画より出来の優れた、暫定シリーズ最高傑作です。はい、あくまで個人の感想です。



関連:【サメ映画】『ジョーズ・アタック2』レビュー




 あらすじ

 アメリカ軍が産み出してしまったタコとサメの合体生物兵器"シャークトパス"。

 この史上最凶のハイブリッド・モンスターは、更なる驚きの進化を遂げ、ついに海を飛び出し陸でも暴れまくり、人間界に牙を向け始めていた。

 ある日、マッドサイエンティストが、最大の海洋哺乳類のクジラ科の中でも、自然界での天敵は存在しないと言われている最強シャチと、最恐の哺乳類オオカミの遺伝子を人間に組み込み、信じられない合体生物兵器を産み出すことに成功、"狼鯨=ホエールウルフ"が誕生する!

 そしてついに、シャークトパス撃退に向けて、最凶合体モンスターが世に放たれた!!
(パッケージ裏より引用)






svw05
⒞2015 Emerald City Pictures, LLC

↑対決! シャークトパスVS狼鯨!
過去作の怪物は非常に無機質だったが、本作に登場する二匹は豊かな感情表現を見せてくれるのも、前二作と違う点だ。






 このシャークトパスVS狼鯨、過去作が割とシリアスな作風に寄せられていたのに対して、何か妙にコミカルな作風を持つシャークトパスシリーズ屈指の異色作である。

 冒頭から何の説明もなく突然現れたかと思えば人を襲うシャークトパスに、意味不明な理論の改造手術を受けて即座に誕生する狼鯨。

 他にも“何故かツイッターでシャークトパスにフォローされている主人公の相棒”や、“何故か呪術でシャークトパスを制御するブードゥーの首長”“何故か終盤で唐突に酔拳を使い始める主人公”という荒唐無稽な設定が次から次へと流れていく本作は、意味不明だが異常な本編の密度を誇っている。





svw02
⒞2015 Emerald City Pictures, LLC


svw03
⒞2015 Emerald City Pictures, LLC


svw04
⒞2015 Emerald City Pictures, LLC





 故に、“怪物視点のパートは兎も角、人類視点のパートが陳腐な一作目”と比べると、“展開を全て独特の勢いに任せて進行していく本作”は、全編通して非常に内容が濃いので、過去作と違って冗長な場面が少ない。



svw06
⒞2015 Emerald City Pictures, LLC

↑シャークトパスの呪い人形。
呪い人形には、シャークトパスとの友情を育む力がある。




 また、シャークトパスシリーズの三作目である本作には、当然過去作に絡んだネタが劇中で見られるが、別に過去作を知らないと楽しめない作品というわけでもない。
 逆に、上述のネタは“過去作を知っていると少し嬉しい要素”程度に留められているので、初見の人間でも安心して楽しむことが可能だ。



 と言うと、「本作は過去作より癖を減らして、初見の方にも配慮の成された、スタンダードなモンスター・パニック」と思われるかもしれない。
 だが、一方で本作、中盤以降はナンセンスなジョークの密度が高まり過ぎて、物語が「腹を抱えて笑えるものの、本編の状況が一切分からない」という脚本的危険域に突入している。




 その詳細は故意に伏せるが、本作を一言で表すなら『混沌』の一語に尽きるのだ。



 子供がドリンクバーで勝手に作ったミックスジュースのように複雑だが安い味を持つ本作が、万人に受け入れられるとは言い難い。
 下らない冗談を冗談と笑えるかどうか、そこが本作を楽しむ上で最も注意しなければならない部分である。



 よって、万が一貴方が『シャークトパスVS狼鯨』を純粋なパニック映画と思い込んで購入した場合、本作は数日の内にリサイクルセンターへと返却されるだろう。



 だが同時に、そこを笑って受け止められるサメ映画ファンには最高の体験を与えてくれるのもまた本作だ。

 本作と同じ系統のサメ映画は少ない。
 強いて言えばシャークネードシリーズの作風が本作に近いが、シャークネードシリージは一応単純娯楽作品として話の筋が通っているので、ここまで良い意味で支離滅裂に狂ったサメ映画は本当に貴重である。



svw07
⒞2015 Emerald City Pictures, LLC

↑頭を掻く仕草のキュートなシャークトパス。



 というわけでこのシャークトパスVS狼鯨だが、「何か強烈な刺激が欲しい」というサメ映画ファンにはオススメだ。


 もっとも、初見で一度に大量のシャークトパスシリーズを摂取すると、脳細胞に深刻な悪影響を及ぼす恐れがあるので、最初に『シャークトパスVSプテラクーダ』を鑑賞して体を慣らした上で、十分に体調を整えたところで本作に臨むことを推奨する。

関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

記事乙です。
二種類の生物の合体生物が暴れ回り、生物のインパクトが凄い作品から堅実な作品と続き、いきなり混沌な作品へ路線が変わる……
つまり製作陣はゲルショッカー(ry

No title

どれからツッこめばいいのか…

最強哺乳類=狼というのは同意しかねますが、狼鯨のデザインはかっこいいと思います(粉みかん

サメのSNSのコメントがとても気になる
どういう投稿するんだろ?
しかも他人をフォローするとか凄い

No title

借りたDVDをリサイクルセンターに持って行ってはいけません!

No title

もちろん冗談ですが物議を醸し出しそうな表現だったため一応少しマイルドに修正しておきました

No title

>SNSのアカウントもある
Mary Lee the shark(発信機を内蔵してツイッターアカウントを持っている実在の巨大ホホジロザメ)リスペクトかな?

No title

>Mary Lee the shark(発信機を内蔵してツイッターアカウントを持っている実在の巨大ホホジロザメ)
SNSやる魚類実在したのかよ!?
そっちも十分衝撃的だぞ

No title

記事作品もさるとこながら、
いまどき火曜日サザエさんなんて誰も知らねーよ!と。

まったく、明るい笑顔を振りまいちゃうぜ・・・