【ワニ映画】『ディノクロコ』レビュー

『ディノクロコ』

原題:DINOCROC
監督:ケヴィン・オニール
出演:コスタス・マンディロア, ブルース・ウェイツ, チャールズ・ネイピア, ジョアンナ・パクラ
備考:監督は『シャークトパスVSプテラクーダ』や『シャークトパスVS狼鯨』の人


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⒞2003 The Pacific Trust.

 『低予算映画の王者』『大衆映画の法王』として現在もその名を轟かせており、サメ映画では『ジュラシック・ジョーズ』『ディノシャーク』、シャークトパスシリーズなどの製作総指揮を務めている男、ロジャー・コーマン。

 そのように、未だ衰えず頻繁に微妙な作品を世に送り出す彼が携わったワニ映画が本作、『ディノクロコ』なのであるが、このディノクロコ、同氏が近年関わったパニック映画の中では、少々毛色の異なる作品だ。



 コーマン作品なのに話の緩急が良い!


 コーマン作品なのに話が脇道に逸れない!


 コーマン作品なのに話が素直に楽しめる!




 どうしてサメ映画で同じ質の作品を撮らなかったのか。



 というわけで今回は、ワニ映画の中でも中堅上位には牙を食い込ませるだろう逸品、ディノクロコをレビューしていこう。

 なお、本作と似た題名の『ディノクロコダイル』というワニ映画が別に存在するが、当然ながら本作とは一切関係ないため、一応借りる際は混同しないように気を付けて頂きたい。




 あらすじ

 遺伝子生物学者の手により蘇った巨大なクロコダイル。水陸両棲、獰猛な食欲を持つこの最凶のプレデターが湖に放たれた!

 何も知らない湖水浴客を次々に喰らい、さらにさらに巨大化するモンスターに人々は大パニック! そして銃で武装した軍隊が退治に乗り出すが、彼等も奴のちょっとした餌にしか過ぎなかった…。

 現代に復活した恐竜鰐と人類の死闘を描くモンスター・アクション・パニック!(パッケージ裏より引用)








 本作において個人的に最も気に入っている点として、“他のワニ映画では絶対に死ななそうなキャラが容赦なく食い殺されたり、逆に他のワニ映画では絶対に死にそうなキャラが派手に活躍しつつ生き残ったりするため、ストーリー自体は平凡であるにもかかわらず展開が読めない”という点を最初に挙げておこう。

 このディノクロコ、他のワニ映画では重要な役割を担うだろうネームドキャラでさえ、比較的序盤からモブキャラも同然のごとく死んでいく。

 また、単に意外な獲物を好むだけではなく、一度フェイントを噛ました上で、重要人物を微塵の躊躇もなく殺していくという、凄まじく意地の悪い面も持っている。

 そのため、比較的様式美に沿った冒頭だけ観て、「あー、定番の展開が続く王道のワニ映画だな」などと油断していると、甘いガードの上から脇腹に重い一撃を食らうことになるだろう。



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⒞2003 The Pacific Trust.

↑マグロ食ってるような方のGodzillaを思わせる姿のディノクロコ。
実際本作の終盤では、ゴジラをオマージュしたかのようなシーンが散見される。




 捕食シーンの演出については、正直なところ場面ごとに出来が非常に上下するため、単純に巧拙は語れない。

 ただし、例えば中盤、“ディノクロコに襲われた主人公の弟が、山小屋に逃げ込むシーン”などは、良質なスラッシャー映画の殺人シーンのごとき間と姿の見えないモンスターに緊張感を煽られ、一方終盤での“完全に姿を現した巨大なディノクロコが、主人公を走って追うシーン”などでは、チープな質感をものともせぬモーションとスケールのインパクトでまた別種の緊張感を見せつけており、つまりここぞという山場ではB級映画相応に良い捕食シーンを出してくれている。

 そのため局所的に数点出来の悪い演出が残されていようが、全体的には観ていて極端にテンションが下がるようなこともなく、最初から最後まで十分に楽しめたため、私が本作に対して抱いた感想は好ましいままで終わったのである。



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⒞2003 The Pacific Trust.

↑豪快に宙を舞い人を襲うディノクロコ。
余談だが、製作総指揮のロジャー・コ-マンは本作にも大変自然に本人が出演している。




 他は可もなく不可もなく、シンプルに纏まった本作の魅力は、おおむね上述の二点に集約されるだろうか。

 もっとも、当ブログでは極端なほど絶賛している『ディノクロコ』であるが、一応申し添えておくと、本作はあくまでB級映画であり、完全無欠の作品と言うわけではない。

 話題の大作映画と比べれば総合的な完成度が落ちるのは言わずもがな、丁寧に観ていけば数え切れない程の粗が出てくる作品ではある。



 だが、細かいことは抜きにして、とにかく本作は楽しめる。

 例えるなら本作は「早い、安い、旨い」牛丼のような作品である。
 そこに度を超えて繊細な味覚を求める方が野暮だろう。

 もちろん良かったと感じるかどうか、そこに個人差は当然出てくるだろうが、少なくとも本作はオススメのワニ映画である。





 以上、『ディノクロコ』のレビューであるが、本作に登場する“ディノクロコ”と、『ダイナソーフィールド SATSURIKUSHA』というワニ映画に登場する“スーパーゲイター”が戦う、『ダイナクロコVSスーパーゲイター』という事実上の続編も存在している。



「あのディノクロコがあのスーパーゲイターと戦うんだぜ? フゥーッ! コイツは絶対観なくちゃならないぜ!」



という人種が一体地球上に何百人存在するのか知らないが、まあせっかく戦ってるんだから一応それもここでオススメしておこう。

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コメント

非公開コメント

No title

王道のワニ映画っていったい何なんですかねえ?

コーマンはサメよりワニのほうが向いてる・・・はっきりわかるね

No title

コーマンは若手発掘もしてるってことにも触れて上げて!
最近、とんと有望な新人を発掘できてないみたいですけどねー
キャメロンやコッポラが別格過ぎただけかも

No title

>『シャークトパスVS狼鯨』の人
>『シャークトパスVS狼鯨』
????
何だろう、脳が理解を拒む

No title

ダイナクロコVSスーパーゲイターは私が人生で初めて見たB級映画(受験のため泊まったホテルでハリーポッターのついでに見た)なのですが、単体が出てくる映画があったとは…
ちゃんとVS物らしく決着をつけてるところが好印象でした。

No title

VSの方観たんですが酷い映画でしたよ。主にCGがね。ピラナコンダの撮影場所の使い回しまでしやがってからに・・・