【サメ映画】『シャークネード』レビュー

 ドッドッドッドッ ドドッドッ シャーク!
『シャークネード』

原題:SHARKNADO
監督:アンソニー・C・フェランテ
出演:アイアン・ジーリング,タラ・リード,ジョン・ハード,キャシー・スケルボ,ジェイソン・シモンズ
備考:センパ・パラタス


シャークネード01
(C)2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

 かつてロシアの文豪・ドストエフスキーは『賭博者』においてこう書いた。

「ゼロだよ、とにかくゼロに賭けるんだ!」

 つまりドストエフスキーもまたサメ映画ファンであったことは想像に難くない。


 
 とのように、一説には年末の宝籤よりハズレに対してアタリが少ないと言われるサメ映画界だが[要出典]、それでも極めて稀に、凄まじいパワーとインパクトを兼ね備えた黄金の核弾頭が採掘されることもある。



 そして本作はアサイラム製作・アルバトロス販売・サメ映画界という絶望の三連単を見事に引き当てた、奇跡の傑作の内の一本・『シャークネード』なのである。




 あらすじ

 突如としてカリフォルニアのビーチを、大量のサメを巻き込んだ台風が直撃。吹き荒れる風雨とサメによって、人々はパニック状態に陥り、周辺地域は甚大な被害を被っていた。


シャークネード02
(C)2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

↑序盤、シャークネードの襲来直後に映る浜辺のカット。
一見普通に晴れているように見えるのは異常気象のせい――と小説版で補足が入っている。



 降り注ぐサメの嵐から、どうにか逃げ延びることに成功した、伝説のサーファーこと主人公、フィン・シェパードは、この未曾有の大災害から家族を守るべく、仲間と共にロサンゼルスへと向かう―


シャークネード03
(C)2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

↑サメ映画の原点にして頂点『ジョーズ』に似たシーン。
本作には意外な場面に細かいパロディが隠れている。



 全米が慄いた!!
 アメリカ放映時に驚異の387,000ツイートを記録!!
 前代未聞のモンスター・パニック登場!!
(パッケージ裏の解説より引用)



シャークネード10
(C)2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.



 これ以上もう何も紹介する必要はないだろう。



  というわけで“竜巻に巻き込まれたサメが空から降り注いでくる”という、一見ワン・アイデアで勝負を挑んだかのような本作だが、構成そのものは意外にも王道のパニック映画である。

 冒頭で“シャークネードとは一体どういうものなのか”を観客に大変簡単に見せておいた上で、そのまま流れに乗った序盤では訳の分からない自然の驚異とそこで逃げ惑う人々の姿が中心に描かれている。

 この時点で主人公達はあくまで“名前を持つ有象無象”程度の役割に過ぎないが、コンパクトに主要人物の紹介を済ませるのと同時に、最初からインパクト抜群の展開を持ってくる導入部分は、パニック映画としてパーフェクトだと言えるだろう。


シャークネード04
(C)2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

↑サメとは関係ないが、風に吹かれて迫り来る観覧車。
シャークネードシリーズには毎回何か巨大な物が転がってくる。




 中盤、一旦騒動が落ち着いたところで、主人公達は遠方の家族を守るため、あえて安全な場所に避難せず、災害の中、妻子や息子の元へと向かうことを決意する。
 そしてその過程において、“甘い面も多いが、無敵のタフガイ”であるフィンの性格や、そのために崩れた彼と妻子の関係など、登場人物の持つ個々の物語が掘り下げられていく。

 つまりここで、作品の視点が『大勢の人々』から『主人公達』へとフォーカスされていくわけである。


シャークネード06
(C)2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

↑道中命を落としたフィンの友人、ジョージ。
一見そう簡単に死にそうにないほどキャラが立っている登場人物に限って、本当に呆気なく死んでいくのも、シャークネードシリーズの魅力である。




 そして終盤、冒険を通じて各々の問題に一応の決着を付けた一同は、脅威から逃げるのではなく、脅威と戦い、打ち倒すために立ち上がり――





 とにかく、改めて見ればアサイラム作品らしからぬ、非常にまっとうなパニック映画の筋である。 
 本作が単なるクレイジーな一発ネタの作品というだけに留まらず、二作目、三作目とシリーズを続けられたのも、このように作品の基礎の部分が、意外にもしっかりと作られているからではないだろうか。偶然の産物かもしれないが。


シャークネード07
シャークネード08
(C)2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

↑フィンの神エイムによって撃ち落とされていくサメ。
被弾したサメは物理法則を無視して垂直に落ちていくが、本作はシャークネードなので問題ない。




 もちろん細かい脚本の粗は多く、中盤多少ダレた印象も否めない本作ではあるが、それでもなんだかんだと最後まで楽しんで観られる作品に仕上がっている(注:あくまで個人の感想です)のは、やはりパニック映画の基本が最低限押さえられているためであるかと思われる。

 また本作におけるクライマックスの盛り上がりは、サメ映画史において未来永劫語り継がれることとなるだろう。
 ブロディ署長がホオジロザメを狙撃した『ジョーズ』のクライマックス以来の感動がそこにあるのだ。


シャークネード9
(C)2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

↑クライマックスでの盛り上がり。
だがフィンが『チェーンソーの申し子』(公式設定)としての本領を発揮していくのは二作目以降である―




 以上、映画的な完成度はともかくサメ映画的な完成度は恐ろしく高い『シャークネード』である。あまり細かいことを考えず、もうとにかく流れに身を任せて楽しんでいく作品としては最上の部類に入る一本だろう。



 だが、普段サメ映画やアサイラム作品を観ないという方には、あえて本作より先に、よりエンターテイメント性を重視した続編『シャークネード カテゴリー2』を鑑賞した方が良いかもしれない。



でもホントこの映画を最初に観たときは「よっしゃあ! 久々のアタリじゃあ! 何年ぶりじゃあああああ!」みたいな気分だったから! まだ観ていない方は2からでも問題なく観れるのでぜひ! オススメです!



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コメント

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2は最高でしたね、1も3も良かったけどやっぱり2が今のところシリーズ最高傑作だと思ってます。けれどもしシャークネード4が公開され、2を越えたりするのだろうかとシャークネードには期待が止まりません

フィンの必殺技がかっこいいね。俺の感想では鮫巻シリーズは2が至高だね、あの完成されたストーリー、アクション、サメ。序盤のサメ登場シーンはピラナコンダを彷彿とさせる突然感がGOOD!

No title

ほんとにシャークネードがお好きなんですねw全作観ましたが、自分も2が一番好きです。

No title

肩の力を脱臼しそうなくらい抜いて見るのがオススメですよね。

No title

2のラストはマジで盛り上がるからなぁ

自分はどちらかと言うと1が好きです
2も面白いのですが、キャラクターやハラハラ感、この先どうやってサメのトルネードを解決するんだ?という手探り感は1に軍配が上がるかなと個人的に感じました
見た順番が1→2というのもあるかと思いますが

シャークネードのDVDジャケットを良く見るとダブルヘッド・ジョーズらしきサメがいるんですよね
理屈も何もかも飛び越えてて、サメに不可能はないことを思い知らされた映画でした

午後ローでなんとなく惹かれて見たときは運命を感じました。
パニック映画…というよりも、やはりZ級ならではのツッコミ所あふれる雑な展開が真骨頂かな~
最後に流れるあの名曲も含めて本当にすばらしいサメ映画だと思います。
見終えたとき、次のサメ映画なんにしようかなってワクワクしちゃうんですよね!

No title

シャークネード観てみようと思って近所のTSUTAYAで探してみたけど置いてなかった。残念。

No title

周りの評判を聞いたとき、まさか…どうせクソ映画愛好家視点の誇張表現なんだろう…?とか鼻で笑っていてすいませんでした!!!!
焼き土下座でも何でもしますから

1作目は確かに中盤だれてるので若干耐性のない人には抵抗はありますが2作目を最高に楽しむならやっぱり1作目は外せませんね

本当に1作目の(不)自然な導入部、そしてぶっ飛んだラスト、作品を通してみて、これはバカになってみる映画だと直感で理解させる丁寧なチュートリアルだと思いました
(あくまで2前提の話)

連続視聴したおかげで、2作目は冒頭から終盤まで予定調和を機銃掃射してくる展開に、腹を抱えて笑いながら、食い入るように見続けていました


今回のサメコレは、好奇心から買って轟沈したジュラシック・シャークを見るために視聴したのですが、気が付けばamazonでシャークネードをポチってました
本当に奇跡的な良作ですね
まさに誰かとみたいサメ映画の筆頭に挙げてもいいんじゃないでしょうか

No title

『シャークネード フォースの覚醒』が今月末に米国放送が決定し、ラスベガスを舞台にフィンが大暴れする予感、男性が右ストレートでサメを殴る、ストリッパーが股間でサメを撃退する等のCMが公開されましたね。
ポスターはもうご覧になりましたか?
スター・ウォーズをパクった…ではなくオマージュした素晴らしい出来ですよ。

このシリーズは全てDVDを持っており観賞済みなのですが、ニコニコ動画で知的風ハットさんがどのようにレビューされるのかとても興味があります。
是非とも取り上げていただきたいのでご検討して頂けると幸いです。

No title

ちょっと聞いてくださいよ
今朝起きたらデスね、オカンがなんか大はしゃぎ。
夜更かしして適当にチャンネルぽちってたら、鮫が竜巻に乗って空飛ぶ映画をやってたって!
なんかオチの鮮烈さにやられたとかで、なんかハイテンションなんです。
還暦目前の人をこうまで楽しませる鮫映画恐るべし!デスね。
普段映画見ない人には、とっても面白いエンターテイメントに見えるのかもしれないなぁ。

No title

あのさあ・・・ようつべで「どうすればシャークネードを実際に作り出せるのか」って考察動画投稿されてんだけど。(空想科学何とかみたいなもんね)
英語に自信があったらどうぞ。結構面白いし、考察も説得力あったよ。
https://www.youtube.com/watch?v=vytJbTcHzKs&index=1&list=FL87i8LtFfvWr2RQuO5Uoj0w