【サメ映画】『シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄』レビュー

 ジェイル・ハウス・シャーク
『シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄』

原題:SHARKANSAS: Women's Prison Massacre
監督:ジム・ウィノースキー
出演:ドミニク・スウェイン, トレイシー・ローズ, シンディ・ルーカス, クリスティーン・ヌエン, コーリー・ランディス
備考:本作のキャストの欄を見てみると、『ロリータ』や『フェイス/オフ』に出演したドミニク・スウェイン、ポルノ・クイーンとして名を馳せた女優、トレイシー・ローズなどのそれなりに意外な面子が並んでいる


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⒞2015 CALUV Film Project, LLC

 低予算映画では気持ち定期的に初版本が登場する、ディケンズの『二都物語』の冒頭では、このように語られている。


 “あれは最良の時代であり、最悪の時代だった。”
 “叡智の時代にして、大愚の時代だった。”
 “新たな信頼の時代であり、不信の時代でもあった。”
 “光の季節であり、闇の季節だった。”
 “希望の春であり、絶望の冬だった。”


 
 これは完全にサメ映画が築き上げてきた黄金時代のメタファーである。
 よってディケンズもまたサメ映画ファンであったことは想像に難くない。



 そのディケンズの一節を引用しておいて、内容の大半を文学性どころか同性愛と人種差別に絡んだジョークで占めているのが、本作・『シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄』 である。



 なお、当然販売はアルバトロスである。




 あらすじ

 アーカンソー州女子刑務所を脱獄し、森の奥深く逃げ込んだ女囚たち。

 そこで待ち受けていたのは、地の底から現れた古代鮫の大群だった。

 巨大な顎《ジョーズ》に引き裂かれ、次々と餌食になる女たち。

 サメ地獄から脱出し、この森を生きて出られるのは誰だ?

 “伝説のセクシー・クイーン”トレイシー・ローズ出演!
 サメ×女囚のコラボレーションで贈る、モンスター・パニック!!
(公式HPより引用)






 本作のまともな見所はおそらく冒頭が最初で最後である。

 開幕から恐ろしい速度で沼地を駆け抜けたかと思えば、そのまま派手な爆炎と共に、車を吹き飛ばす本作のサメ・『シャークザウルス』
 その雄姿は意外な迫力を誇っていたために、不覚にも一瞬、後の展開への期待を感じてしまった。



 もっとも、冒頭以降はサメの出番も非常に少ない。
 そして、サメに代わって登場するのは“女囚同士のキャットファイト”“ラストまで本筋と関わらない保安官二人組のデリバリーコント”であって、貴重なサメの捕食シーンの直接描写も大して見られない。
 故に、正直なところもう語ることがない




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⒞2015 CALUV Film Project, LLC

↑本作に登場する女囚一同。



 だが、スローテンポとはいえ一応話はきちんと進むのと、ビーチ・シャーク以来の“陸を泳ぐサメ”“妙に露出の多い女囚の面々”“一見重要人物かと思わせておいてすぐに死んでいく人”、そして“微妙に締まらない結末”など、“視聴者が積極的に楽しむ姿勢で臨めば、一応見所として挙げられないわけでもない長所”は大量に存在する。

 そのため、サメ映画ファンが数人で集まって、適当に鑑賞するには割と適切な作品ではあるかもしれない。



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⒞2015 CALUV Film Project, LLC

↑サメの存在を差し置いて、度々本編に捻じ込まれる同性愛至上主義。



 というわけで総評は簡潔に、「まだ許せる部類」である。



 パニック映画に相応しい展開を求めて観ると退屈な作品だが、本作を“脱獄を企む女囚の、少しセクシーなコメディ映画withシャークサウルス”として観れば、序盤から中盤の内容も若干堪能する余地はある。

 上記の評価は海より深い慈悲の心を持つサメ映画ファンに対するものであるので、冷静に考えればクソ映画以外の何物でもない本作ではあるが、それでも一応「まだ観られる部類」の範疇だろう。



 本作に限った話ではないが、サメ映画鑑賞には“寛容と慈愛の精神”が必要不可欠である。
 そこで皆様も一度本作を観て、徳を積んでいくと良い。
 仏頂面になるかもしれないが。




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コメント

非公開コメント

No title

クソ映画とレズというのは、赤い糸か何かで結ばれているのでしょうか?

No title

結構面白そうと思ってしまった
ビーチシャークとどっちが面白い?

何かのジャンルと女しか出てこないというファクターを掛け合わせたものは
クソ映画ばかりという説を提唱してみる

ふられても頑張れハットさん

No title

私はジミーのキャラの良さ分だけビーチシャークの方が好みですね

No title

>地の底から現れた古代鮫の大群
ここだけでもうダメだった
近所の店にあったから観れたけど本当に修行してる気分に

No title

監督「ジム・ウィノースキー」にまず驚いた私。
まさに生涯現役。フレッド・オーレンレイと同期だろ……。

「なんで山の中に鮫が!?」
「うるせぇ!予算がなくて水撮影なんてできないんだよっ!」

的なやりとりがあったであろう事が、容易に思い浮かびます。

No title

ディケンズへの熱い風評被害

No title

女囚の集合写真の真ん中の人。
首が気持ち悪いぐらい長くみえるのは気のせいでしょうかw
ろくろっ首VSサメ?、妖怪とサメの死闘とかひどいストーリーになりそう。