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【サメ映画】『アイス・ジョーズ』レビュー

 ♪Boy Meets Shark 不意に出る瞬間 きっと貴方を噛んでいる―
『アイス・ジョーズ』

原題:AVALANCHE SHARKS
監督:スコット・ホイーラー
出演:アレクサンダー・メンデラック, ベンジャミン・イースターデイ, ケイル・カントウェル, リチャード・グリーソン, エリック・スコット・ウッズ
備考:監督は『トランスモーファー・リターンズ』の人


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⒞2013 Odyssey Media Inc

 というわけで信頼と実績のアルバトロスから国内に送り出された、サメが雪の中を泳ぐサメ映画『アイス・ジョーズ』であるが、厳密に言うと本作に登場するサメはサメではない。

 というのも劇中に登場するアイス・ジョーズの正体とは、かつて本作の舞台となる雪山で虐殺された住民の怨念が、復讐を司る神・スカッカムに宿り、サメの姿を持つ怪物となって山奥に復活した太古の精霊である。
 そのため本作のサメは、通常の軟骨魚類とは一線を画する能力を誇ることになったのであり、大体根本的にサメではない。



 そのような神話生物・スカッカムの特徴とは、『ディノシャーク』のごとき“強靭な皮膚”と、『ビーチ・シャーク』のごとき“水陸両用の地形適性”、そして『ゴースト・シャーク』のごとき“通常の物理攻撃が完全に通用しない霊体”という設定である。

 ここまで高いスペックを持つサメはサメ映画にも珍しく、本作が現状メガ・シャークやゴースト・シャークなどと並んでサメ映画最強ランキングの上位を争う強力なサメ映画であることは、もはや疑う余地もないだろう。



 ちなみに本作、内容の方ではサメ映画最低ランキングの中堅を担う出来の弱者である。




 あらすじ

 スプリング・シーズンを迎えたマンモス・マウンテンで、スキー客が次々と失踪。山に伝わる伝説の怪物、スカッカムの仕業なのか?

 惨劇は続き、ついに姿を現したモンスター。それは雪の中を猛スピードで泳ぎ、地上の獲物に食らいつく獰猛な人喰いザメ、“スノー・シャーク”だった!!

 神出鬼没のハンターに襲われ、大パニックにおちいるスキー場。保安官のアダムや海兵隊員のウェイドは決死の戦いを挑むが、不死身の化物を倒す手段はない。

 さらに大雪崩が発生、完全に孤立したウェイドたちに、スノー・シャークが容赦なく襲いかかる!!(パッケージ裏のSTORYより引用)






 補足しておくと、パッケージ裏ではスノー・シャークと呼称されているスカッカムもといアイス・ジョーズであるが、本作の原題は『アバランチ・シャークス』であり、雪原を舞台にした『スノー・シャーク』という原題のサメ映画はまた他に一本存在している。
 つまりスノー・シャークはスカッカムもといアイス・ジョーズ、あるいはアバランチ・シャークスと別の作品に出てくるサメであるため、ここでは混同しないように注意が必要だ。
追記:アイス・ジョーズことアバランチ・シャークスの原題に別題で『スノー・シャークス』が加えられたため、上記の疑問は解決した(そして更に識別が困難になった)。



 どうして二本も雪原が舞台のサメ映画が存在しているのか。



 というわけでこのアイス・ジョーズであるが、ストーリー自体はこれまた恒例のごとく、サメ映画の基本フォーマットに則ったシンプルな作品である。

 劇中では雪山を訪れた主人公一同を襲うサメに、“サメの存在を信じない権力者”“田舎の経済を重んじて観光客を避難させない権力者”、そして“以前から怪物の存在を知っていた老人”など、この手のB級映画には大抵出てくる愉快な面子が次々に登場しつつ一人また一人と死んでいく。

 サメは比較的序盤から登場しつつ、“きちんと姿を画面に映しながら”大勢の餌枠を食い殺してくれており、会話や妙な間が冗長な場面もサメ映画の割には少ないため、事前に「これから俺はサメ映画を観るんだ」という覚悟が完了していれば、案外観れないこともない作品ではあるだろう。



 そして本作、雪山が舞台であるにもかかわらず、とりあえず無駄に水着の美女を登場させるというサメ映画のノルマを何故か達成している。



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⒞2013 Odyssey Media Inc



 無理に水着の美女を出すくらいなら、最初から海辺を舞台にしておけば良かったように思わないわけではないが、舞台にゲレンデを採用しておきながら徹底的にサメ映画の様式美を確保することを追求した本作のスタンスは、サメ映画ファンなら一応評価しておくべきであろう。



 そして本作を語る上で欠かせないのは、やはり作品の目玉であるアイス・ジョーズことスカッカムだ。



 『サメ』『怨念の集合体』『精霊』『復讐の神』という過剰な設定を搭載して現れたスカッカムではあるが、キル・モーションが終盤まで非常に少なく、本作のサメはほとんど獲物に“飛びついて噛む”“足元から出てきて噛む”かの二択の行動しか取らない。



 つまり本作のスカッカム、雪の中を泳ぐことを除けば、結局いつものサメ映画と大して変わった点のない平凡なサメなのだ。



 他のトンデモ路線を行く駄目な部類のサメ映画でさえ、最低何か一点は独特のギミックを活かした場面を盛り込んであるのに対して、本作のサメはせいぜい“物理攻撃耐性”という、雪山と特に関係のない謎の能力しか劇中で上手に見せられていないというのは少々残念ではあるが、それでも全編通してサメが画面に姿を見せているだけマシといえばマシであり、鑑賞を放棄するほどの難点ではないとも言える。

 むしろ長い年月を費やして視聴者のハードルを深度6000メートル以深まで下げ切ったサメ映画界にとって、この程度の難点はそれもまた様式美として称賛されるべき長所だろう。



 もちろんこれはあくまで個人の感想であり、納得は一切期待していない。



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⒞2013 Odyssey Media Inc

↑本作に登場するサメ・『スカッカム』
♪Fall in Shark ロマンスの神様 この餌でしょうか―




 本作最大の問題はそこではなく、やはりそれまで本編で繰り広げてきた一切合財を全部灰燼に帰すかのごときあのラストだろう。



 具体的に言うと、『主人公一同がスカッカムと一進一退の攻防を繰り広げている一方で、唐突に本編に沸いて出た素性の知れない似非日本人が、何故か突然スカッカムを全員封印してそのまま幕を閉じる』あのラストだ。



 これはない。他の点はともかくこれはない。



 それまで登場人物が劇中で見せてきた活躍から、完全に意義を抜いて脱力感と疲労感だけ残していった、このラストはない。

 このアイス・ジョーズが基本的に、オーソドックスな内容のサメ映画であることは先に述べたが、それでも終盤の“複数匹で人々を襲撃する不死身の怪物・スカッカムと、武器どころか攻略法さえ大して持たない無力な主人公一同の勝負”には、「スカッカム滅茶苦茶強いなあ」「本当に倒せるのかなあ」「一体どういう決着を付けるんだろう」とのように、少なからず結末に期待させられる部分があった。



 そこにこのラストは流石にない。「終盤から突然本編に現れた似非日本人が、トーテムポールを直立させると、怪物は一瞬にして消えました」はない。







 これが私にとってどれほどの衝撃だったか、あえて『魔法少女まどか☆マギカ』に例えるならば、



「ワルプルギスの夜を倒す方法が見つからず、絶望する暁美ほむらの横へ、不意に出てきた留学生のボブが突然十字架を掲げると何故か魔女が全員消えた」



というレベルのエントロピーだったと言えば伝わるだろうか。
 とにかくそこはない。断じて認められない。今にして思えば一周回って笑えるが、やはりない。



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⒞2013 Odyssey Media Inc



 だが本作、“適度な作品のテンポ”“安定して供給されるサメの出番”、また“可もなく不可もない単純な展開”によって、悔しいことに作品の出来は最低とまで行かず、酷さ・出来の悪さも笑って観る方向に余裕を持って、最初から姿勢を整えていれば、退屈することなく逆に楽しんで観られるサメ映画でもあるだろう。
 むしろ“気心の知れた友人と、事前にどのような分類の作品か把握しておくことを前提に、酒を飲みながら観るサメ映画”としては最高の一品とも言える。



 というわけでこのアイス・ジョーズ、個人的には、オチとサメの捕食シーンさえもう少し何か凝っていれば、サメ映画もといB級映画としては意外な良作として受け止められたはずの作品である。
 素面での鑑賞は薦められないが、アルコ-ルさえ入っていれば、酒の肴として十分に働いてくれる、大味なジャンクフードのようなサメ映画だ。
 元々この類のB級映画は、“ビールを片手に気楽に観れる作品”をコンセプトに制作されていることも多いので、そのような意味では意図に沿って、酩酊状態での鑑賞に丁度良いクオリティーに作られたサメ映画、それがアイス・ジョーズなのかもしれない。



 でもあのラストはない。何度でも繰り返すが、ない。



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コメント

非公開コメント

まどか☆マドカはわざとなのかミスなのか困惑中

No title

まどマギの例えで腹筋持ってかれました(笑)

No title

特に言葉遊びということもないうっかりミスなので修正しました
私はかしこいなあ

酒が飲めない未成年はサメ映画見るときどうすればいいのか

No title

映画にもなったミストみたいなオチだなぁ。
原作の裏設定だと、ダークタワーの主人公達があれこれやって解決してたんだっけか

というかパッケージのやつらはなんで水着でスノボやってんだ

ミストは世の不条理さを演出する意味で冒頭からのあのラストだけど
こっちはただ単なる練り込み不足からの超展開だからねえ

No title

まどマギで思いっきり笑った
これ脚本家途中で飽きたんか最初からオチをまともにやる気なかったんだろうなあ

No title

>終盤から突然本編に現れた似非日本人
寺生まれのTさんかな?

個人的に知的風ハットさんにレビューして欲しかった映画でした。
鑑賞時からあのオチはひどいなーと思ってましたが、やはり同じように感じていらっしゃったので安心しました(笑

買ってしまった…

いつも動画楽しんで見ています。
この映画は実際に見たことはないですが、文から内容が伝わってきて笑ってしまいましたw
今度スナッチをレンタル屋で借りたいと思っています。面白そう
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