【サメ映画】『ロスト・ジョーズ』レビュー

 世界で最も飛行性能に優れたサメ映画
『ロスト・ジョーズ』

原題:RAIDERS OF THE LOST SHARK
監督:スコット・パトリック
出演:キャンディス・リッドストーン,キャサリン・メリー・クラーク,ジェシカ・ハーザー,ローレンス・リーヴンチェック
備考:スタッフにブレット・ケリーがいる


ロスト・ジョーズ01
⒞2014 Wild Eye Releasing & Princ Films

 今年2015年6~7月はサメ映画の黄金時代であった。

 アサイラムが送るメガ・シャークシリーズの第4弾『メガ・シャークVSグレート・タイタン』に、まさかのシャークトパスの続編『シャークトパスVSプテラクーダ』、ロジャー・コーマンの弟子であるリー・スコットが生んだ『ピラニアシャーク』、Syfyからの刺客『ジョーズ・リターン』、そして個人的にお気に入りのサメ映画『ビーチ・シャーク』の廉価版が発売されるなど、これまでにないほど大量のサメ映画が一斉にリリースされたのだ。

 この映画業界が揃って腹を下したかのような怒涛のサメ映画ラッシュは、TV東京における午後のロードショーサメ映画月間との相乗効果により、これまでマイナー気味だったサメ映画の存在を世間に広く認知させた(評判は芳しくなかった)。

 そこに紛れてひっそりと、人目を忍んで日本に不法入国していた作品が一本ある。

 その映画はTSUTAYAのカタログにおいて、別のサメ映画『ジュラシック・シャーク』(2012)から丸々そのまま流用したワンカットの画像を新作案内コーナーに載せるという衝撃のデビューを飾っていたが、気が付いたのは私を含めごく少数のサメ映画ファンしかいなかった(私は気が付いたもんね!)。

 また、その映画はリリース直前まで通販サイトで商品の予約購入を受け付けていたものの、いざリリースされるという間際になって、Amazonからページごと存在をロストするトリックプレーまで人知れず成し遂げていたのである。買おうと思ってたのに! ずっと見てたんだぞ!



 こうして流通以前から既に奇妙奇天烈フカ不思議な快挙を達成していたのが本作、『ロスト・ジョーズ』なのだ。
 




 あらすじ

 バカンスのため田舎の湖を訪れた4人の学生。しかしそこは政府の開発した生体兵器ザメが泳ぐ危険地帯であった。
 一方、彼らの教師である主人公の古生物学者・レイノルズ教授は、湖を所有する地主からサメ退治を依頼される。
 過去に妹をメガロドンに殺されたことがトラウマである彼女は、一旦依頼を断るものの、湖に設置された監視カメラの映像から、生徒が生体兵器ザメの危機に晒されていると知り、単身サメを相手に立ち向かうことを決意する―






 正直なところ、どこから解説に手を付けていけばいいのか分からない。あらすじは極力簡潔に纏めたが、この映画にはとにかく本筋と関係のない無駄なパートや登場人物に、唐突に流れるがまあそれなりに聞けるテーマソング、そして当然のように空を飛ぶサメ対サメ用ジャマーなどの面白コンテンツが、先の展開に困る度に逐一挿入されては尺を稼ぎつつ消えていくのだ。

 よって実際の本編は、上記のあらすじに魚の骨と人肉を混ぜてシェイクしたような、言語による詳細な解説の難しいケミカル珍味なのである。



 特にサメの存在を信じず一向に調査を始めない警察官二人組は、脚本の亀裂に潜り込むようにして意味もなく登場したかと思えば、どうも一番酷いときの『エンタの神様』を彷彿とさせるコントを繰り広げ、結局騒動とはまったく関わらないまま爆散したサメを頭に浴びて物語を締めくくる。
 彼らの存在意義とは一体何だったのか。

 本筋と関係がなく内容も微妙な警察官のコントのある作品といえば、例えば『アクエリアス』などが頭に浮かぶが、もしかすると名作映画のオマージュのつもりだったのだろうか。
 でもアレは名作映画じゃん。



 この映画はダメだろ!
 まあ別にオマージュでも何でもないと思います。



 極め付けに、この映画、Z級映画として海外でも悪名高い怪作『ジュラシック・シャーク』と、


・クレジットのフォントが一緒(例の“FIN”も登場)
・撮影現場が一緒
・一部キャストは続投
・一部スタッフも続投、というかジュラシック・シャークの監督が制作&脚本
・ジュラシック・シャークで使われたサメのカットを多数流用している



などど、まるで食い散らかされたジュラシック・シャークの残骸を観ているような手の抜きようである。

 もちろん本作には流用でないオリジナルのサメのモデルも使われているが、一体どうしたことかジュラシック・シャークのサメよりもCGが劣化している。何故だ。


ロスト・ジョーズ03
⒞2014 Wild Eye Releasing & Princ Films

↑流用されたサメのカット。これだけでは『ジュラシック・シャーク』なのか『ロスト・ジョーズ』なのか、本編を観るまで分からない。
 よってここにシュレディンガーのサメが成立する。




 ただし、この人気のない再生怪人じみた作品にも独自性は存在する。先程にも述べたが、サメが空を飛ぶのだ。
 それも飛び跳ねるとか風に乗るなどというレベルではない。





ロスト・ジョーズ04
⒞2014 Wild Eye Releasing & Princ Films


 浮遊している。 


 メガ・シャークシリーズシャークネードなど、最近では飛行性能の高いサメ映画も増えてきてはいるが、現状本作のサメほど長い滞空時間を誇るサメ映画は他にないだろう。別にあっても困るが。

 冗長な会話に単調なカメラワーク、散漫なプロットやチープを突き詰めたかのような映像技術に塗れた作品ではあるが、「あー、なんか今日は自由自在に空を飛び回るサメが観たいなー」という気分の日には、この映画を鑑賞することを強く推奨する。


どうでもいいけど邦題は『レイダース 失われたシャーク』の方が良かったかな!


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コメント

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No title

ツイッターから来ました。
……滞空サメがトドメでした。

権利の問題さえ大丈夫なら、鮫映画にそのうちビーストウォーズみたいなトランスフォーム鮫が出てくるかも。
いや予算が無いから出ないか、うん。

No title


宇宙船から不法投棄されたナノマシンを喰ってロボ化して変形してマシンガンとか出すロボシャークって映画がですね・・・

No title

サメが飛んでからのCGはまさにクソコラでしたね
クソコラグランプリで盛り上がったシャークトパスに対抗したんですかね…?
映画の方からクソコラ作らなくていいから(良心)

No title

時間の流れを遅くする未来装置でした・・・タイトルはフライング・ジョーズでよかった。