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【サメ映画】『フライング・ジョーズ』レビュー

 邦題がレッドカード
『フライング・ジョーズ』

原題:Swamp Shark
監督:グリフ・ファースト
出演:クリスティ・スワンソン, ロバート・ダヴィ, D・B・スウィーニー, ジェフ・チェイス, ソフィア・シニーズ, チャールズ・ハレルソン, ランス・E・ニコルズ
備考:監督は『ゴースト・シャーク』の人であり、かつて『トランスモーファー』の主演俳優でもあった


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⒞2010 AED-Swampshark, LLC


 メガ・シャークシリーズから始まって、シャークネードシリーズに終わろうとしている、“サメが空を飛ぶサメ映画”
 しかし一方では“サメが空を飛ばないサメ映画”の人気も未だ根強く、『ダブルヘッド・ジョーズ』『トリプルヘッド・ジョーズ』のように、水中というサメ映画の原点を崩さない作品も依然として健在だ(もっともこの二本は別の点でひたすら狂っているわけだが)。

 さて、今回紹介する『フライング・ジョーズ』もまた、そうしたサメが空を飛ばないサメ映画の内の一本である。

 



 そんならどうしてこの映画に『フライング・ジョーズ』なんて邦題を付けたんだろう……。




 あらすじ

 避暑地として人気が高く、観光客で賑わうアチャファラヤ川では、レストラン『ワニの小屋』による毎年恒例のワニ祭が開かれようとしていた。

 だが動物の密輸を生業とする保安官・ワトソンのミスにより、繁忙期のアチャファラヤ川へと一匹の巨大生物が放流されてしまう。


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⒞2010 AED-Swampshark, LLC

↑サメの詰まったタンクがうっかり転がってきたため、慌てて逃げるワトソン。
サメの出番に乏しい本作序盤において一番優れた演出の場面である。



 その巨大生物の正体とは、鎧のような肌に鋭い牙を持ち、沼地の環境にも適応するという、新種のサメだったのだ。

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⒞2010 AED-Swampshark, LLC

↑本作の貴重なフライング要素。“飛ぶ”というより“跳ねる”に近く、その“跳ねる”シーンも劇中二回のみ。
大体この作品の原題は『スワンプ・シャーク』(沼地のサメ)であるため、余計に邦題を『フライング・ジョーズ』とした意図が読めない。



 新種のサメが人々やワニを襲う一方で、サメの存在を隠蔽するどころか、自分の過失から生まれた死亡事故の責任を『ワニの小屋』に押し付けようと目論むワトソン。
 このままでは死人が増え続け、田舎の貴重な収入源であるワニ祭まで中止となってしまう。


 無実の証明と行事の存続、そしてサメに殺されたワニの仇を討つべく、主人公・レイチェルを含む『ワニの小屋』の一同は、前代未聞のサメ退治へと乗り出すのであった―



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⒞2010 AED-Swampshark, LLC

↑本作のヒロイン・レイチェル。
なお彼女を演じるクリスティ・スワンソンは別のサメ映画『レッド・ウォーター サメ地獄』にも出ている。
サメ映画とサメ映画は惹かれ合うのだ。






 まず本作も、通常のサメ映画のレギュレーションに則り、“終盤までサメがロクに画面に映らない”作品であるということを最初に述べておこう。


 目に見えるのは背ビレ程度、初代『ジョーズ』のような演出でフォローする気概もなく、画面に入らない場所で今週の餌枠は食べられていき、“戦車のごとき強靭な皮膚により通常の兵器は受け付けない”新種のサメという設定すら満足に活かせていないという有様だ。

 作品のテンポは良いため、鑑賞に苦痛は感じないものの、元々SyfyのTV映画に過ぎない本作は、予算の都合からCGに力を入れることは許されず、見せ方も上手とは言い難い。

 そのため画的な見所は、せいぜい「この映画の悪役が『エクスエンダブルズ3 ワールドミッション』に出てたよ!」とか、「この映画の脇役が『96時間/リベンジ』に出てたよ!」程度にしか存在しないのだ。





 だが、この映画がまったく見所のない凡作ないし駄作なのかというと、それがそうでもないのである。



 オープニングの音楽が最高なのだ。

 

 この映画、序盤に関して言えば突出した部分が非常に少ないため、正直なところ最初の数十分は、オープニングを含めたリズムの良い音楽で持っていたように思う。

 中盤以降はそれなりに話も盛り上がってくるが、終盤やエンドロールでも出し惜しみせず挿入されるサメ映画名曲タイムは、この映画を凡作からもう数段上位のランクにまで価値を押し上げるのに一役買っているだろう。



 また、“登場人物に好感の持てるキャラクター、あるいは後半で一気に魅力の出てくるキャラクターが多い”のも本作の長所に挙げられる。

 パニック映画の登場人物といえば、「お前一体どんな教育を受けりゃそこまで性格歪むんだ」と訝しむほどに性根の捻じれたキャラクターがよく見られるが、本作では(悪役を除いて)登場人物の嫌な面を極力抑え、キャラクター各々に割り振られた良い点を見せるよう努めてくれているため、全体的にストレスを感じない内容になっているのは嬉しかった。



 特に、かつてアメフト選手であり豪放な性格である、“逞しいジョック寄りの男”と、普段は臆病な性格だが決めるときは決める、“太ったナード寄りの男”による凹凸タッグが、クライマックスのサメ退治における重要な役割を担うというのも、“主人公が事実上一人でサメを倒す”展開の多い他の映画とは違う独自の見所であり、新鮮味を感じた。


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⒞2010 AED-Swampshark, LLC

↑上記の凸凹タッグ。

 
 そしてこのフライング・ジョーズを語る上で欠かせないのが“サメとの決着の付け方”だ。


 あえて詳細は伏せるが、“最初にジョーズをリスペクトした定番の畳み方でクライマックスを締めるのかと思わせておいて、一旦フェイントを挟み、そこから中盤~終盤の伏線を活かした決着の付け方によって見事にサメ退治を成功させる”一連の流れは、テンポ・意外性・爽快感の三点において完璧だった。


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⒞2010 AED-Swampshark, LLC

↑「笑え畜生!」とは行かないのが本作のサメだ。


 最後に、本作ではジョーズやディープ・ブルーなどを彷彿とさせるサメ映画のオマージュが所々で見受けられるが、出し方が露骨でなく、「原作を観たことある人には分かるかな?」程度の塩梅に留めているのも、表面的なパロディにはいささか辟易している人間としては印象が良かった(どうしてゴースト・シャークでは真逆を行っちゃったんだろう……)。



 というわけでこのフライング・ジョーズ、“不満が残る”というよりはむしろ“長所が本当に素晴らしかったために、おそらく予算や納期から生じた短所が惜しまれる”作品である。

 出来自体は佳作の域を出ないようにも思える反面、制約の中で工夫を凝らしたと思しき箇所も複数見える作品であり、普段からサメ映画やパニック映画を観ている方(すなわち良し悪しの感覚が半ば麻痺している方)には十分良作と呼んで差し支えない内容だろう。

 無理に観ろとまでは言わないが、機会があれば観て欲しい。サメ映画『フライング・ジョーズ』はそのような作品である。



 一応もう一度繰り返しておくが、この映画のサメは空を飛ばない。



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コメント

非公開コメント

No title

ハット様が見ていたら質問。なぜハット様は出演俳優を一目見てほかの出演作がわかるんですか?どんだけ記憶力良いのですか?それともメモってるんですか?

No title

>れれさん
ハットさんじゃないが代わりに答えると、
B級Z級に限らず色んな映画をそれこそたくさん見てると
色々分かってくることがある。こういう演出がその頃流行ってたんだろうなとか
何かどこかでみたような構図や人物配置だと思ったら同じ監督だったりとか。
だからハットさん感覚だと記憶力がいいとかは別にして
「嫌でも眼に入る」
んじゃないかと。少なくとも自分はそうかな。じゃなかったら
ネットで検索もしないうちから「シャークトパスは死神ジョーズのリメイク」
とか気づかないだろうし…

No title

B級Z級映画好きの闇は深いんですね!
それはともかくサメ映画のサメって一体どういう存在なんでしょうかね?

こいついっつも音楽ほめてんな

No title

サメ映画のサメは命を奪う概念では(ぐるぐる

No title

>チョコボール ついこないだツタヤで「キングスマン」のPⅤを見ていたんだけど、そこで監督が「キックアス」の人だと紹介されているのを見て、ああなるほど確かに雰囲気が似ているなんて思ったよ。貴方が言っていたのはこの感覚の事かと。   しかし僕は言われて初めて気付いたのに対し、ハット様は言われる前から複数人も言い当てている。しかもZ級と呼ばれる映画で。一体何本の映画をみればそんな風になるのか考えるだけでゾッとします。

No title

後ハット様、道頓堀にはさすがに遠すぎて行けないのでいつか東京での講演も実施してほしいです。(>_<) お願いします。

No title

何でこれに吹き替え入れてハイブリッドやアイボーグに吹き替え入れないんだよAMG…

No title

もしかして『フライング・ジョーズ』の「フライング」って「フライングスタート」とかの意味のフライングなんじゃないだろうか。
だからといってこの映画と合った邦題ではないんだけど。
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