【ホラー映画】『宇宙からのツタンカーメン』レビュー

 To be continued
『宇宙からのツタンカーメン』

原題:TIME WAKER
監督:トム・ケネディ
出演:ベン・マーフィ, ニナ・アクセルロッド, ケヴィン・ブロフィ, ジェームズ・カレン, シャーリー・ベラフォンテ=ハーパー
備考:ジェームズ・カレンは後に『バタリアン』に出演


ツタンカーメン01
⒞2015 FORWARD Ltd.

 皆様は『宇宙から来たツタンカーメン/消えたミイラ! 全裸美女に迫る古代エジプトの魔神』という、妙に文字数を圧迫する邦題を付けられた作品をご存じだろうか。
 「『タイム・ウォーカー/時空の聖櫃』という別題で覚えている」という方も居るかもしれない。


「別にツタンカーメンも全裸美女も一切出ない」
「でも邦題でオチをネタバレしている」
「というかVHS版のパッケージが既に若干ネタバレしている」
「何故かDVD版のパッケージ裏では完全にネタバレしている」



ことで有名なこの映画は、かつて日曜洋画劇場で放映された際、淀川長治がまともな感想を放棄したことで一躍名を上げた(評価は下げた)。

 このような逸話が未だ界隈では語り継がれる、気の毒なファラオに等しい本作が、先日有限会社フォワードから国内で再版されたのである。



 というわけで、当ブログの記念すべき第一回目の作品として、この『宇宙からのツタンカーメン』をレビューしていこう。




 あらすじ

 発掘調査のためエジプトを訪れた主人公のマッカデン教授は、ツタンカーメンの墓から謎の棺と正体不明のミイラを発見する。



ツタンカーメン02
⒞2015 FORWARD Ltd.

↑ピラミッドから掘り出された謎の棺。



 アメリカへとミイラを持ち帰り、研究を試みるマッカデン教授であったが、研究員の一人がうっかり通常の10倍のX線を放射してしまったことにより、死んでいたはずのミイラが復活してしまう。



ツタンカーメン03
⒞2015 FORWARD Ltd.

↑ミイラの姿は終盤まで余り見えない。



 また間の悪いことに、棺に隠されていた宝石が手癖の悪い研究員によって盗み出されてしまったため、蘇ったミイラは宝石を取り戻すべく町に現れ、人々に襲いかかる――



ツタンカーメン04
⒞2015 FORWARD Ltd.

↑本作に登場するミイラ。これが思ったより格好良い。



 意外と普通の内容に思える――と感じられた方も居るだろう。実際本編も終盤までは、割に普通の内容である。

 無論ここで言う“普通”とはB級映画基準の“普通”、もう少し具体的に言うと、



1.カットの使い回しが地味に多い

2.ミイラの殺人の直接描写が非常に少ない(画面外での殺害や行為直前に暗転など)

3.謎の棺から検出された未知のカビについて解明していくサブプロットが、気が付けば本編途中で消失している

4.ヒロインがミイラに追いかけられるシーンでミイラの姿が見えない

5.ミイラに建物の高層から路上に突き落とされ、腰・背・後頭部を強打したにもかかわらず結構元気なヒロイン



 という点に対して特に何も感じない人間には“普通”である。


 
 もっとも、他に欠点と言う程の大きな欠点がないことや、物語はオーソドックスだが退屈なシーンは少ないこと“映像技術については案外良いこと”を考えると、「本当に終盤の展開を除けば」隠れた名作と呼んで差し支えない――かもしれない出来である。



 問題はラスト15分前から唐突に訪れる、怒涛の展開だ。



 ミイラが盗まれた宝石を全て回収して―


ツタンカーメン05
⒞2015 FORWARD Ltd.


 突然胸からビームを出すと―


ツタンカーメン06
⒞2015 FORWARD Ltd.


 突然ミイラがエイリアンになるのだ。


ツタンカーメン07
⒞2015 FORWARD Ltd.


 言っている意味が分からないかもしれないが、どのみち本編を観たところで分からない。


ツタンカーメン08
⒞2015 FORWARD Ltd.



 どうしてこうなったんだろう。



 一応劇中でも“ミイラの正体が人間ではないかもしれないこと”について事前に説明が為されているが、それでも流石に“ミイラの中の人がグレイ・タイプのエイリアン”であると(パッケージ裏のネタバレを見ていなければ)誰が予想するだろうか。



 平凡とはいえ体裁は整っていた、序盤直後~終盤直前の王道ホラー展開を、“最後の最後に一切合切葬り去ることによって生まれた絶大なインパクト”は、本来なら凡作~良作の範疇に留まっていた本作を、僅か一シーン数カットで訳の分からないZ級映画へと押し上げたのだ。



 ちなみに彼は『ツタンカーメン』ではなく、かつて『エジプトでツタンカーメンを殺害した真犯人』とのことである。



 じゃあ『宇宙からのツタンカーメン』って誰だよ。



 一撃必殺のクライマックスによって、冒頭から積み上げてきたものを粉微塵に打ち砕いてしまった本作であるが、一点“普通”に評価するならば、構図や照明の効果もあって、意外と本格的なホラーの雰囲気を身に纏うミイラの全身像だろう。

 そこに関して言えば、今でも通用するのではないかと思う程にクールでミステリアスなミイラの画が決まっている。
 万一本作をホラー映画として“まともに”鑑賞する場合は、そこに注目して画面を眺めることをオススメする。





 というわけで総評だが、結末の部分は人を選び過ぎる節があるものの、面白いと言えば確かに面白い作品だ。

 少なくとも、何の魅力のない作品と言うわけではない。
 逆に、数だけ挙げれば良い点の方が多いかもしれない。



 ただし、それでは良作なのかと聞かれると――



 肯定は難しい。




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コメント

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No title

I am your father.とか青空侍とか、初見でこそ最大限の効果を発揮するビックリが映画には沢山あるけど……これはマイナス方面でのビックリだね、うん。
腹筋が崩壊したのが不幸中の幸いかも。

No title

えーと、つまりハット様はもう末期の中毒者というわけですな。

子供の時にテレビでやっててカビで死人が出たとこがやけに怖かったでござる。そういえばカビどうなったか全然記憶に無いと思ったら上質紙してたのか( ´△`)